最終話
「運転手さん、このスタジオですよ。当時の僕がメンバーを叱ってしまって、バンド解散まではなしが広がったのは」
「では昔の自分と話さなきゃなりませんね」
すると昔の若い黒田がタバコを吸いに外に出てきた。
その昔の黒田に今の黒田がTAXIから降りて話しかける。
その様子を見ている運転手。
今の黒田がTAXIに戻ってくる。
「どうでしたか?」
「なんとか話しはつきました」
「ずいぶんすんなり行きましたね」
「所詮僕なんで信じやすいんですよ」
昔の黒田がこちらに、にこりとしてスタジオに入って行った。
「どうします?未来に戻りますか?」
「はい、お願いします」
TAXIが動き出す。
過去の東京を走るTAXI。
「そろそろ未来への入り口に入りますねー」
スピードを上げて光に包まれた。
時計を見ると深夜2時に戻っていた。
黒田が言った
「ちょっと待ってて下さい」
何かを取りに行った黒田が帰ってくる。
「これ俺たちのデビューCDです」
「あ、バンド解散しないでCD出した訳ですね!」
「では私は今回過去に行って良かったのでしょうか?」
「はい!」
「ではこの辺で私は失礼いたします」
「ありがとうございました」
黒田は部屋に戻ってまた曲を作り始めた。