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二話
深夜2時。
静まりかえった黒田のマンション付近。
黒田は一旦メロディーを止め、歌詞を考えるのをやめて、タバコに火を点けた。
深ーく煙を吸ってゆっくり吐いた。
そんな時、黒田の家のチャイムが鳴った。
黒田は誰だろうと、玄関のドアを開ける。
運転手の恰好を見て、黒田は部屋を間違えた人だと思ったらしく、
「うちじゃありませんよ」と言った。
運転手が切り出した
「東京夢TAXIにです」
「は?」
「今夜黒田さんが選ばれました」
「なんで名前を?」
「とりあえず外のTAXIまで来て頂けませんか?」
それを言うと黒田は外に出てきた。
「これが東京夢TAXIです」
「いや、須通のTAXIじゃん」
「まあ、中に入ってください」
TAXIに乗り込む黒田
「説明しますね。東京夢TAXIとは深夜2時を過ぎても寝ないで、夢を追いかけている人にちょっとした夢をプレゼントする企画です」
「どういったプレゼント?」
「時空の旅です」
「時空の旅?」
「それで黒田さんは曲を作ってレコード会社に送ってるが、連絡がこない状況という訳ですね?」
「ええ、…まあ」
それで今回選ばれた訳です。