きまぐれ
昼過ぎには降り始める、
初夏に向かうための雨。
することはしてしまおう。
その雨が降る前に。
ゆっくりなんてできないよ。
あの頃とは違って。
することはしてしまおう。
風がつよくなってゆく。
草を踊らせている。
枝を撓らせている。
思いがけない冷たさ、
湿り気を帯びた風。
夕方の雨は激しい。
出かけるなら今のうち。
することはしてしまおう。
濡れて震える前に。
また次なんてできないよ。
お互いの生活がある。
することはしてしまおう。
迷っているなら進もう。
時を惜しんでいる。
夢を求めている。
離したくない愛しさ。
泣いているだろう人。
夜半過ぎに鳴る雷。
温もり纏う耳に落ちる。
することはしてしまおう。
これからも生きるために。
忘れるなんてできないよ。
夜通し雨に打たれても。
することはしてしまおう。
それは、晴れた朝のため。
運を感じている。
命、繋いでいる。
描き続けた雨の日。
書き残すは、気まぐれ。