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~ラストスカイ~  作者: たっくん
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第八話「もう一人」

皆が無事だったが、かなりの犠牲者が遊園地で出たことは間違いなく、そして犯人も捕まることはなく迷宮入りで終わってしまった。

そして電車で帰ってる中、みんな全く話さなかった。

まぁ、それはそうだ、せっかく楽しかった遊園地に来たばっかりですぐ帰宅することになってしまったのだから…。

最後の最後まで元気がなく、みんな単尾駅からバラバラに分かれて帰っていく。

雪娘が帰ってる方向へ走り、雪娘を引き止めた。

「待って!」

「何?もう帰るんだけど。」

「ごめん、ちょっと来て!」

僕は急いで雪娘の手を握りしめ引っ張って路地裏に行く。

「何?こんな人気の少ないとこなんかに来て…。変態。」

「何言ってんだ。なぁ、なんか知ってるんだろ?この世界についてとか、なぁ。」

雪娘の目を見て真剣な顔で問いかける。

「…はぁ、分かった。」

そう言って素直に聞いてくれた。

「まず、私もいつからか分からないほどだけどループしてるの。」

「え?」

それは意外だった。まさかの一緒だったなんて。

「そしてそれが始まった日、私は記憶を失っていた。でもそれを何故か隠してきてたの。」

言ってるのがあの時の僕と一緒だった。

「…友達の話についていけなくて、結局絶交って形になったの。」

…それであの時、教室で泣いていたのかと思う。

「そもそもなんでお嬢様なのかすら分からなかった。」

確かに記憶無い状態でお金持ちであったなら変に思うな。と僕は心で思った。

「…まぁ、そこで分かったことがあった。あの事件が起きてから…。あ、最初の世界線なんだけど。」

「複雑だな…。」

「その最初の世界線であなたが死んでしまったの。私のことを助けてくれたのよ。そしてそこで私はあなたからこの『石のお守り』を手に入れたのよ。」

それはまさに今まで何回か使ったお守りだった。

「なるほど、それで何度もループをしてたってことか。」

「そういうこと。」

これで全て話したよと言わんばかりに雪娘は目を閉じていた。

「なるほどな。そういう事だったのか…。」

結局、過去の僕の失敗した世界線があって、それを雪娘が引き継いだという訳だ。

「んー。見るからに一緒だな…。」

石のお守りを両方見比べて空にかざしてみたりする。

これといって変わりはないが、同じすぎて2つ一緒にしてたら分からなくなりそうだと思った。

「まぁ。分かった。じゃあ、もし僕が困ったりした時は協力してくれるのか?」

そう聞くと雪娘は少し微笑んでこう言った

「もちろん。」

そして雪娘が帰るのを見送って僕も帰ることにした。

何事もなく家に到着した。

「ただいま。」

「おかえりー!」

家に帰ると真っ先に萌守がお出迎えに来てくれる。

相変わらず可愛い妹だ。…ん?相変わらず?あ、そっか、記憶のあった時の自分の本能だと今では割り切っていた。

「お兄ちゃん、今日、楽しかった?」

そういえば遊園地から帰ってきた後だった。

「いや、それがさ…。」

いつも…はないけどいつものように今日の出来事を話した。

「え?!爆発?!大丈夫だった?怪我とかないよね?」

優しく萌守が心配してくれた。

「うん、大丈夫だったけど、犠牲者はいたんだよね。」

「犠牲者?」

「あ、怪我した人達のことね。」

流石に死亡した人とは言えなかった。この子の前では。

そして夜。雪娘と電話していた。

「とりあえず、また歴史改変すべきことが起きたら戻って、雪娘に相談するよ。」

「うん、そうして。」

次から変えることが起きたら過去の雪娘に伝えて一緒に改変することを約束した。

「あ、そうだ。」

ふと雪娘が話し出した。

「ん?どうした?」

「名前…、先輩呼びもアレだから『くん』呼びでもいい?」

「良いけど…。」

今の記憶のない僕はそんなに嬉しいだのそういう感情は少なかった。

「ありがとうね、雄翔くん。これからよろしくね。」

「あ、うん、こちらこそ。」

これからは仲間が増えた、そう思えばいいんだろうか、どう思えばいいのかは分からないが心強いことは確かだった。

そして電話を切り、眠りについた。眠るのが遅かったせいか、起きるのが昼になってしまった。

「あー、もう昼か。」

僕は服を着替えて一階に降りていく。

すると玄関に萌守の靴だけが無かった。

「…朝から出かけてるのか?珍しい。」

本能が珍しいと言っていたことから元々はそんなに朝は出かけない人だと分かった。

そしてリビングへ入ると、お姉ちゃんが電話を切って真っ青な顔でこっちを向いて言った。

「…萌守が交通事故で死んだって…。」

今回はまさかの萌守が犠牲者だった。

とても急のことで心が全て苦しくなって何も考えられなかった。

…僕はすぐ部屋に戻り、既にもうお守りを握り祈っていた。気づいた時には意識が途切れた。

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