表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
~ラストスカイ~  作者: たっくん
21/30

第二十一話「追跡」

ヤンキーたちは恐れおののいて颯爽と逃げていった。

「か、かっこいい…。」

お母さんはお父さんにもう惚れていた。

「さてと…。じゃあ、帰りましょうか。」

お父さんがすっと歩き始めて、それをお母さんがすぐに追いかけた。

「ところで、なんで逃がしたんですか?」

「あ?あー、警察の事情聴取っつーのが面倒いんでな。」

そう言って二人は夜の中歩いてどこかへ行ってしまった。

そして僕らはというと、

「なんか、ちょっと違う出会い方になっちまったな。」

「でも見て!雄翔くん、だんだん濃くなってるよ!」

美奈に言われて見てみると少しずつだけど元に戻ってきた。

「良かった…。」

「はい。」

確かめるために雪娘が手を前に出してくる。

僕はそっと手を近づけていくと触れることが出来た。

「やったぁぁぁぁぁぁぁ!!」

喜びに大きな声が漏れた。その瞬間、

「誰だ?!?」

近くをうろついていた警察が気づいてしまった。

「まずい…!」

大慌てで全員が手を繋いで僕が石を持とうとした。しかし、持っていないことに再び気づいた。

このままでは警察に見つかるかもしれない。

後ろを見てみると、そこには大きめの箱があった。

全員、その中に入ることに成功した。

「…あれ、ここから声がしたんだけど…特に何もねぇか。」

警察がいなくなったことをチラッと確認して全員なんとか無事だった。

「でも、どうするの?石がないと帰れないよね?」

美奈が困った顔をしていた。

「いいや、石を返してもらう方法ならある。」

僕はそんなに焦ってなく冷静だった。

「つまり、作戦かなんかあるって?」

「あぁ。さっきのヤンキーたちを追うんだ。あのヤンキーたちが言ってたんだろ?『殴るだけで大金手に入るのはラッキー』って。つまり、まだ手に入れられてないということ。追えばその犯人が分かるだろ。」

そして僕らは外へ出てヤンキーたちの向かった方向へと向かう。その方向は単尾川公園だった。

「あぁ?!なんで負けてんだよ!…はぁ、大金なんて渡せねぇ。せめてこんくらいだ。」

そう言ってお兄さんが何万円かバラバラと撒いた。

それに群がるヤンキーたち。凄く滑稽だった。

「…あれ、あの時ぶつかってたお兄さんじゃねぇか?」

正憲がしっかりと確認して言った。

「あのお兄さんから石を取り返さねぇと。そこでひとつ、作戦がある。」

その作戦を皆に早めに伝えていく。

「じゃ、作戦通りにいこうっ!」

僕と雪娘と正憲は静かに少しずつ後ろへと回り込む。

そしてお兄さんの正面に美奈がふらついていく。

「…助けてください…。」

「ん?どうした?」

すっとお兄さんが美奈に近づいた。この調子でいって触れた瞬間に後ろから奇襲をかけるつもりだった。

「…止まれ。」

「え…?」

お兄さんの方が一つ上手だった。

「服など外傷が見られないのに助けてってのもおかしいな。」

ニヤつきながらそう言った。作戦変更をして早速、皆で突撃していく。

「そこに居るのもバレてんだなぁ〜。」

さらりとお兄さんは僕らをかわしていく。

「残念だったなぁ。俺には石がある。いざとなりゃ逃げれんだぜ?」

…このまま石を取り返せずに逃げられるのは厄介だ。

そして僕らはまだ諦めずに立ち向かう。

「いくぞ!うぉぉぉ!!」

僕が先陣を切るがよけられ、雪娘が片手で止められ、そのまま正憲を足で転ばし、雪娘を跳ね返して、美奈の走った勢いをそのまま利用して抱き上げ空へ飛ばした。

「…!美奈ぁ!!」

僕は思わず叫んでいた。

ギリギリ立ち上がれた僕は美奈をお姫様抱っこして助かった。

「ナイス!」

正憲の声が公園内に響いた。

「アイツは?!」

お兄さんが思い切り、猛ダッシュして逃げている後ろ姿を近くの交差点で見つけた。

「いた…!逃がすもんか…!」

僕らは皆で追いかけて走り出した。

ドンドン暗くなる中、見つけずらいがなんとか見極めて追いかける。

お兄さんは追い詰められたからか大陽中学校へと入っていった。

運動場の真ん中でついにお兄さんは立ち止まった。

「てか、帽子で深く被ってて全く分からなかったけど、お前、何の目的で俺の家族の存在とか消したりしようとしたんだ!」

「…それは教えることは出来ねぇな。それより、お前はなんでこんなものを持ってるんだ?」

そう聞かれたが本当に返すべきか分からず言葉が出てこなかった。

「…まぁいい、こんな便利なものがあったら、誰だって使いたくなるわな、そして自分の欲のままにする事だって出来るもんな。」

何を言いたいか全く分からないが僕はそんな気持ちで使おうとは思ってなかった。

そしてなぜか使えた。ただそれだけだった。

「…確かに俺らもそれは気になってたよ。どうして持ってるのか…。」

正憲がふと口を開いた。少し不安な気持ちになったが、次にまた口を開いた。

「でも、こいつは欲のままにやるような奴じゃない!俺が一番分かってる。」

その言葉がとても頼もしく聞こえた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ