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~ラストスカイ~  作者: たっくん
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第十一話「見つかる事実」

とりあえずまた戻ることにして石のお守りを握り祈って一緒に歩いていたところまで戻った。

「…守りたいね、この子。」

小さな声で雪娘が呟いたところから始まった。

反応出来なかったことに雪娘が気づいた。

「もしかして、戻ってきた?」

「あぁ、うん。そう。」

それを聞いて雪娘は大きく深呼吸した。

「なるほどね、じゃあ作戦は失敗したんだ?」

「大きくな。」

萌守には聞こえないように小さな声で何が起きたか全て説明した。

「…なるほどね。トラックの来るタイミングが変わっていた…。でもそんなのまで予測出来るはずないし…。もしかしてこの萌守ちゃんを狙っての犯行?」

雪娘が軽くそう推理したが、僕自身はその推理は違うなと思っていた。

「詳しいトリックがどうなのかは検討すら付かねぇけど唯一言えることは萌守の運命を僕らが変えることでトラックも変わってると思った。」

僕の推理はこれだった。

ただ、どちらの推理も合っているという保証なんてない状態での会話。真実がわからない状態なら推理は役には立たない。

ただ、まだ何か残ってるなと思ってはいた。

「助けることは出来ないの?」

雪娘が心配そうな顔をして萌守の背中を見ていた。

「いや、そうではないと思うよ。」

僕はその言葉を否定することが出来た。

「なんでそう思うの?」

「そもそも、僕は他の色んな過去を改変しに行ったけど、変えることが出来なかったことはなかった。だから今回もないはずなんだ。」

そう、そのはずなんだけど…。

頭の中で何度も萌守の助け方を巡らせるが、時間を変えてもトラックは来る…。

どう考えても結論は難しくて出なかった。

「助けられるまでやり続けるしか無さそうだよ…。」

僕の最終的な結論はそれだった。

「とりあえず、今度はどうするの?」

雪娘がふと僕の方を見つめて聞いてきた。

「今度は…そうだな…。」

「どうしたの?早く行こーよー。」

萌守が前の方から急かしてくる。

僕らは作戦を立てる時間はなく、そのまま進むことになった。

どうするか迷っているうちに交差点近くになってきていた。

このままだとさっきと似たようなことになってしまう。どうしてもそれは避けたかった。

せめて少しだけでも次の段階にしたかった。

思考を思い切り張り巡らせ、何かを思いつくが流石に無理だと思い、再び考え直す。

何度も何度も巡らせたものの全く思いつかなかった。

「っ!ダメだ!もうコレにするしかない!」

さっきの流石に無理だと思った思いつきをせざるおえなかった。

その方法は交差点ギリギリのタイミングで素早く萌守を引き戻す。というもの。

「萌守…!」

交差点をかかる手前で思い切り手を引っ張る。

その瞬間、交差点をトラックが横切っていった。間に合った!と思い、大きくため息をついて手を離す。

「もう、急に引っ張ったら痛い!」

そう言われて萌守は頬を膨らまして歩いていく。

「はぁ…。」

怒られてしまった。流石に力が強すぎたか…。助けたい一心で引っ張ったから加減し忘れていた。

「嫌われたね。」

雪娘が少し小馬鹿にしたような笑みを浮かべて僕の肩をトンと叩いた。

「まぁうん。」

でもこれで助かるのなら構わないだろうと思った。トラックはもう横切ったから…。

萌守が交差点に差し掛かった途端にドカッという音がした。

「え…。」

見てみるとトラックが2度目来たのだ…。

「嘘でしょ…。」

なぜ2度目が来たか分からなかった。この交差点がループしてる?なんてことが頭をよぎったが、そんなはずはない。もしそうなら次もトラックがやってきているはずだ。

だが、やってきたのは2度目…。

どうしてこんなにトラックが何度もアタックしてくるのか…。まるで僕らを予測していたかのように…。そして結論が出た。

「分かった!!雪娘、それ貸して!!」

雪娘から石のお守りを取り、思い切り単尾川へ投げ捨てた。

「え…!なんで?!」

「これが2つあるからこの世界線で毎回、僕たちの周りの人が死ぬんだよ!」

それが僕が出した結論だった。

「…私はどうなるの…?」

雪娘がこれまでない不安で悲しげな顔をしていた。

「分かんないけどこれなら…!!」

僕は咄嗟に雪娘を左手で抱き寄せ、右手で石のお守りを握りしめて祈った。

そしてまた意識が途切れた。

…途切れるちょっと前。ひとつの影が近くに…。

「…。」

単尾川を見つめてそこへ忍び寄る影。

「…これが。」

そのひとつの影は石のお守りを手にした。

そう、これが後に最悪な悲劇を生み出す…。

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