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49. デビュタントボールに参加しよう2

 今日はデビュタントボール。壇上でお披露目する事も無事に終わったものの、主催者のノーヒハウゼン侯爵から、期待している、などと声を掛けられてしまった。

 一体何を、とお姉ちゃんと思いながら、久々に出会った剣の師匠、アーガスさんのところへ戻る。

 綺麗になったね、よかったよ、とアーガスさんにお姉ちゃんと二人褒められて嬉しい。

 お姉ちゃんは、蒼ちゃんは今も昔も未来もずっと可愛いのよ、なんて言っているけど。

 褒められてご機嫌な私は、挨拶が終わって緊張が少し解けたらお腹空いちゃったな。何か食べようかな……。

 アーガスさんとお姉ちゃんに一言告げて、結局三人で食事を取りに行く。立食ビュッフェスタイルだ。

 すると、アーガスさんが人だかりを見つけて不思議がる。


「料理の前で、こんな人だかりになる事なんて今まで無かったのに、どうしたんだろう」


 三人でその人だかりの方へ行ってみると、料理人が何やら白い塊にソースを掛けて提供して……って、お餅じゃん!


「お餅ねぇ……」

「お餅だね……」

「オモチ? 何だいそれ」

「蒼ちゃんが作ったお菓子よぅ」

「持って来たとは聞いたけど……、もしかして、二人の世界のお菓子かい?」


 私とお姉ちゃんはアーガスさんを見て頷く。あぁ、好奇心旺盛な綺麗な松葉色の瞳が、キラキラと輝きを増したのが分かった。


「取ってくる。二人はいるかい?」

「雫は食べるわ! 鶯ね」

「私は醤油が食べたいです」


 新しいワードが出てきて混乱しているアーガスさんに、ソースの種類だと説明しながら三人で取りに行く。お姉ちゃんは鶯あん、私は醤油、アーガスさんは白あんだ。いただきます。

 咀嚼して、そして咀嚼してやっと飲み込んだアーガスさんが感想を言ってくる。


「食感が面白い、全く噛み切れない。それとソースのシロアンは甘くておいしいね。これは人だかりが出来る訳だ」

「そんなにおいしいのかしら?」

「それもあるけど、それ以上に珍しい。二人の世界って事は東方寄りだろ? でも東方に行った時にこんなお菓子は見なかったよ」

「そんな事もあるんですね。食材は東方から入ったって聞いてますが」

「どうやらまだ色々と新しいものが作れそうだね。私は他のソースを食べてくる」


 そう言うや否や、再びお餅ブースに歩いて行ってしまった。

 お姉ちゃんと残りをのんびり食べていると、鶯あんと醤油がそれぞれ掛かったお餅を二つ持って戻ってきた。どうやら鶯あんが最後の一個だったらしくて、とても笑顔だ。

 私とお姉ちゃんはドリンクを貰って飲んでいる。お姉ちゃん、お酒は程々にね。

 醤油から食べ始めるアーガスさん。そしてあっという間に鶯あんに手をつける。喉に詰まらせ……る事はなく、いい笑顔を振り撒きながら先程と同じように感想を言ってくれる。


「ウグイスアンってのも甘いんだね。アンっていうのが甘いソースの総称かな。味が違って私はウグイスアンの方が好きだな。だけどショウユ。これはいいね。お菓子にもご飯にも酒のつまみにもなりそうな万能料理じゃないかい?」

「きな粉は無かったのねぇ」

「キナコ?! まだソースがあるのかい?!」

「……内緒ですよ」


 私は周りに見つからないように、壁の方を向いて『ストレージ』からきな粉の入った瓶を取り出し、アーガスさんのお皿に余っている鶯あんのお餅の脇にパパッと掛ける。そしてすぐしまう。

 まるで新しいおもちゃを与えられた子供のように、目を輝かせて掛かっているきな粉を見つめて食べるアーガスさん。


「キナコとショウユ。いや、アンも勿論おいしかったとも……あぁ! 決められないじゃないか!」


 なんて叫びながら嬉しそうにしているアーガスさん。この人のこういう純朴なところ、嫌いじゃない。

 ドリンクを貰って一口飲んで、やっと落ち着いたのか、お皿を置いて改めて話し掛けてくる。


「そういえば最近カステラってお菓子も話題だね。あれもアオイが?」

「はい。あれはコリーナ様にレシピを売りました」

「なるほど、道理でキルシュ商会が大々的に売り出してる訳だ。オモチのレシピも売ったのかい?」

「これは売る気はありません。領のために、これで稼ぐんです」

「そうなんだ。じゃあ私がオモチを作る事は不可能か……」

「売ったりあげたりしないで身内で楽しむだけなら、教えますし道具も作りますけど、材料の入手が難しいかもしれません」

「アンとキナコは豆でオモチはライスだろう? 醤油も含めて王都の市場でも売ってるじゃないか」

「よく分かりましたね。さすがです。白あんと鶯あんの豆はこの国でも作っていますが、きな粉の豆とお餅の米は東方頼りです。今、東方からの船に無いか、今後積んで来て貰えるかの交渉をウォーカー商会に依頼しています」

「友人って言ってたね。分かった。じゃあ安定供給出来るようになったら教えて貰おうかな」

「その時は必ず」

「アーガスさん、お餅つきしましょうね」

「作り方も面白そうだね」


 それから、悪いけどこれから友人たちに挨拶をしてくる、とアーガスさんは去っていってしまった。

 しばらくお姉ちゃんと二人でグラスを傾けながら話していたら、一段と豪華なドレスに身を包んだ女性がこっちに歩いてきた。二十歳くらいかな。樺色、濃い黄赤色の長い髪を緩くウェーブさせていて、その髪と同系統の深い色のドレス、凛とした立ち居振る舞い。穏やかながらも芯の通った力強い目が、彼女の強かさを表している。さっき挨拶したご夫人とご令嬢の中に、この人はいなかった。でも、明らかに位が高いのは纏った雰囲気で分かる。

 私たちはグラスを置いてカーテシーをする。頭は下げたまま相手の言葉を待つ。


「楽にしていただいて結構ですよ。初めまして、メアリー・ノーヒハウゼンです」

「ご挨拶が遅れて失礼しました。本日はご招待ありがとうございます。リインフォース家の次女、雫・リインフォースです」

「同じく、三女の蒼・リインフォースです」

「シズクさん、アオイさんとお呼びしても?」

「「勿論です」」

「ありがとう。私の事はメアリーと呼んでくださいな。今日は二人にお話ししたい事があって来たのよ」

「何でしょうか?」

「リエラは元気?」


 さっきまで社交モードで取り繕っていた私とお姉ちゃんの笑顔が一瞬引き攣る。しまった。しかしもう遅い。それを目ざとく見たメアリー様は、たしなめるでもなく私たちに笑顔を向けてくる。


「大丈夫よ。取って食べたりしないわ。あの子の今の情報が知りたいの。今日こそアーガスから聞き出そうと思ったのに、アーガスったら、あなたたち二人を置いてまで私から逃げるなんて……」


 今の情報? それに、何でアーガスさんの名前が出てくるんだろう。私とお姉ちゃんは疑問符を浮かべて首を傾げてしまう。


「私とリエラ、アーガスは学院で仲がよかったのよ。教師からも三人一緒でよく見られていたし、私もよく二人を追いかけたわ。信用出来ないなら、後でアーガスに聞いてちょうだい」

「いいえ、信じるわぁ」

「どうして?」

「嘘を付くようには見えないから」


 お姉ちゃんの口調が普段通りになって、メアリー様に答える。何か勘が発動したみたい。なら信じられるね。メアリー様がそれを聞いて微笑んでくれる。


「リエラの情報。私たちが知ってる事なら教えます。ですが、この場所だと……」

「アーガスに禁句って聞いた?」

「はい」


 私はさっきアーガスさんに言われた通り、この場では話さないようにする。


「そうね、なら今度そちらに伺ってもいいかしら? 私も、アオイさんの作るお菓子が食べたいのよ」

「かしこまりました」

「それからシズクさんにお願いがあるわ」

「何かしら?」

「リエラから皮膚乾燥に効く塗り薬の作り方を聞いていない? あの子の薬が一番効くのよ」

「勿論聞いてるわ。作っておくわねぇ」

「日時は任せるわ。それじゃあごきげんよう」


 あっという間に行ってしまった。メアリー・ノーヒハウゼン様。ノーヒハウゼン侯爵の娘、だよね……。しかし……。

 

「リエラちゃんに、同性のお友達がいたのねぇ」

「ね。びっくりだよ……。しかも社交性があって、才気煥発なご令嬢だなんて……」


 評価は今日得たイメージだけどね。するとそこに、慌てた様子のアーガスさんがやってきた。


「メアリーと話した? 今メアリーに女性を放置するなって怒られたよ。ごめんね、二人きりにして」

「いえ、今度うちに来る事になりました」

「そっか。まぁ本当に心配してるだけだから、悪いようにはならないよ」

「アーガスさん、メアリー様に頭が上がらないのねぇ」

「私とリエラはメアリーには絶対勝てない。これだけは何があっても断言出来るね」


 よく二人を追いかけたって、後ろから付いて行く物静かなご令嬢じゃなくて、獲物を締め上げる活発なご令嬢って事なんだね。

 なんて事を考えていたら、ホールに音楽が鳴り始めた。ダンスミュージックだ。よく考えたらデビュタントボールって舞踏会だったね。誘われたら踊りなさいって言われてたっけ、相手がいないけど。

 と言うより、私とお姉ちゃんに近付いてくる人はまるでいなかった。やっぱり、避けられてるのかなぁ、リインフォース家の娘は。

 しかしそこで、お姉ちゃんに向き直ったアーガスさんが、慇懃にお辞儀をして話し掛ける。


「シズクお嬢様、私と一曲踊っていただけますか?」

「喜んで」


 アーガスさんにエスコートされてホールの中央の方へ歩いて行くお姉ちゃん。

 二人が三拍子の音楽に合わせて踊り出す。

 アーガスさんの前に出るようなリードに合わせて、お姉ちゃんが体を後ろに引く。今度は逆のステップ。くるくると周りながら、二人の足跡が綺麗な螺旋を描く。

 リードがうまいのか、周りの人と近付きつつもぶつかる事はない。

 二人は何かを話しながら、笑顔で踊る。

 やがて曲が終わり、二人がこっちに戻ってきた。

 アーガスさんが私の前で、お姉ちゃんにしたのと同じようにお辞儀する。


「アオイ様、順番で後となってしまいましたが、私と踊っていただけますか?」

「はい」


 よかった。私だけ誘われなかったらどうしようかと思った。

 そしてお姉ちゃんと同じようにアーガスさんにエスコートされて、スペースの中央に行く。

 三拍子だけど、さっきと違う曲が流れ出し、周りの人たちと共にアーガスさんの手を取って踊り始める。

 ワン、ツー、スリー……。今度は体を引いてターン。次は前に出してターン……何とか出来てる。アーガスさんの足を踏まないようにしないと。


「ダンス、出来るようになったんだね」

「お姉ちゃんと必死で覚えました」

「もっと私に体を預けて、足を踏むとか気にしないでいいよ」


 言われた通りに、アーガスさんに体を預けて、リードされるままにステップを踏んでいく。あ、さっきより踊りやすい。アーガスさんが笑顔でこっちを見てくる。


「リード、お上手ですね」

「リエラは背がアレだろ? おまけにメアリーは三ステップごとに踏んでくる。嫌でも覚えるよ」

「え、リエラ踊れるんですか?」

「あいつ、うまいよ。意外だろ?」

「いえ、きっと影で努力したんでしょうね」

「だろうね」


 それからは会話もなく、ただ二人でステップを刻む。お姉ちゃんみたいに、綺麗に螺旋になったかな。なってたら嬉しいな。

 曲が終わって、私たちは互いにお辞儀をしてお姉ちゃんの元へと戻る。


「やっぱり蒼ちゃんは可愛いわね! 私も蒼ちゃんと踊りたいわ!」

「どうやって……」

「それに、スカートの翻りがとっても綺麗だったわ。キラキラしてた」

「ありがとう。このドレス気に入ってるから嬉しい」


 その後、なんと私とお姉ちゃんそれぞれにダンスを申し込んでくる男性がいた。人数はお察し。むぅ。

 でもどうやら、誘ってきた男性の名前から察するに、うちと友好な関係を今後も続けたいって家がメインかな。リエラの影響はよっぽどらしいね。後、お姉ちゃんの会話から、お菓子目当てが一人。これは利益目的だね。いずれにしても覚えておいて、後でお義母様と詳細を擦り合わせよう。




 一通りお誘いを受け切った後、音楽も終わって閉会となった。

 結局アーガスさんは、お義母様と合流するまで私たちを守る様に一緒にいてくれた。

 外向けの丁寧な挨拶をして別れを惜しむ。


「「アーガス様、ありがとうございました」」

「またお会いしましょう」

「あ、お待ちください」


 そうだ、と、私はアーガスさんを引き止めて一つ確認する。


「今度メアリー様とお茶会をしますが、一緒に来ますか?」

「ありがとう。でも、遠慮しておくよ。オモチは惜しいけどね。またね」


 そして颯爽と出口に向かって行ってしまった。

 その後お義父様も合流して、馬車の順番待ちをする。伯爵家のアーガスさんは先の方。子爵家のうちは後の方。

 やっとジョセフさんが操る馬車がやってきた。それにお義父様のエスコートで乗り込んで、出発してからまずは一言。


「「つ、疲れた……」」

「お疲れ様二人共。すぐ家だから、それまで頑張ってちょうだい」

「家に帰ってから、今日の出来事を確認するぞ」

「「はい」」


 お姉ちゃんに『ハイヒール』を貰って、せめて体の疲労だけでも回復させておく。体が深い乳白色に輝くが、まるで疲労が取れない。これが、気疲れってものかぁ……。

 お姉ちゃんも同じく疲れが取れていないのか、なんかもう二人で見つめて笑ってしまった。

 馬車は石畳の道をゆっくり進むが、すぐに我が家に付く。

 お義父様のエスコートで最後に降りて、家に入る。

 使用人たちのお帰りなさいませ、の声で、やっと家に帰ってきたんだとホッとする。


「とりあえず着替えてらっしゃい。そしたらパーラーに集合よ」

「分かりました」

「分かったわぁ」


 リリムちゃんとマリーちゃんを付き添って部屋に入る。


『おかえり。遅かったね』

「タルトちゃんただいまぁ」

「ただいま。これからまだ話し合いがあるんだ」

『ふうん、頑張って。僕は寝るよ』


 おやすみとタルトに言いながら、リリムちゃんにドレスを脱がせてもらう。脱いだら『バスタイム』で全身洗浄。それから部屋着を着る。

 リリムちゃんに後を任せて、マリーさんと居間に行く。

 中に入ると、お義父様は上着を脱いでグラス片手にくつろいでいて、お義母様も部屋着に着替えてグラスを持っていた。

 私たちにも、ジョセフさんとマリーさんにもグラスが渡される。お姉ちゃんは嬉々として受け取っていた。

「今日はみんなご苦労だった。遅いし簡単に、大事な所だけ話をしよう。まずクラウディア」

「はい、旦那様。美容品、お菓子、ともに昨日のお茶会からもう派閥全体の話題になっています。美容品は当初の予定通り一週間分程のサンプルを希望者、全員ですが……に渡しております。マリーを連れて歩いたのもよかったわ、リインフォース家が美容品を使用人に渡す程豪奢だと印象付けられました。お餅に関しては、ジョセフ」

「はい。本日お持ちました分は全て無くなったそうです。舞踏会の途中から、私に作り方を乞う使用人が後を絶ちませんでした。それから、ソースは既存のものを掛けてもよいと気付いたのでしょう、アンコよりもオモチの作り方を必死に探っていましたね。マリーはあるか?」

「あります。侍女、メイドの中でも非常に注目されましたので、当家で開発した美容品だと広めておきました。また、領主一家は使用人にも美容品を恵んでくださる素晴らしい方だとも」

「ありがとう。シズク、アオイ。二人は何かあるか?」

「雫たちはずっとアーガスさんと一緒にいたわ。途中いなくなったけど」

「何?!」

「その時に、メアリー・ノーヒハウゼン様とお知り合いになりました」

「そうそう。リエラちゃんの事が知りたいから今度うちに来るって」

「何だとっ?!」

 

 ガタッと椅子が音を立てて、お義父様が立ち上がる。

 ちょっと待て……と額に手を当てて考え始めるお義父様。


「まず、アーガスというと、ドルカ伯爵家の次男か?」

「そうです旦那様。どうやら知己だったみたいで」

「どこで知り合った?」

「リエラの家で、剣を教えてもらいました」

「それ以上はないな?」

「アーガスさんも雫たちも結婚願望はないわ」


 私はあるよ!! 


「後、何故メアリー様がうちに来る事になった?」

「リエラちゃんと仲がいいらしくて、雫たちにリエラちゃんの話を聞きたいって」

「お菓子も食べたいと」

「皮膚乾燥薬を作ってとも頼まれたわ」

「お前たち、なんて答えた?」

「「分かりました」」


 それを聞いたお義父様が、両手を頬に当てて下に引っ張る。まるで叫んでる様子を描いた有名な絵画みたい。

 なんて面白い事を考えている雰囲気じゃ、どうやらないみたい。真面目な顔をして、お義父様がこっちに向き直る。


「メアリー様が求めたのは、知らないリエラの話。これは二人がマイヤの家にいた時の話でいいだろう。それからお菓子は、新作。新しいお菓子は作れるか?」

「お餅のアレンジならすぐに」

「ならいい。薬、これは必ず治る事が必須だ」

「リエラちゃんと同じ調薬を求めてたわね。作り方は知ってるわぁ」

「それも何とかなるか。じゃあ急いで舞踏会のお礼とお呼びする日時を決める手紙を書かねばならん。いつが空いてると言っていた?」

「いつでもいいと……」

「覚えておいてくれ、それは可能な限りすぐに、と同義だ。明後日に指定しよう。そのつもりでいるように」「「かしこまりました」」

「まぁみんなよくやってくれた。今日は解散だ。ゆっくり休んでくれ」




 妻と義娘二人、義娘の侍女が去って、居間には私とジョセフだけ。急いでノーヒハウゼン侯爵家へのお礼の手紙を書いて、私は酒を持たせたジョセフを無理やり座らせて、向かい合っている。


「やってくれたな、義娘たちは」

「失礼ながら、十分な働きをしたと思いますが」

「その通りだ。これで派閥内での評価も塗り替えられる。しかし……」

「いかがなさいましたか」

「分かって言っているだろう。娘を助けるために、義娘を使っている。私を蔑むか?」

「まさか。私は旦那様を支持いたします」

「しかしメアリー様は意外だった。あの方は騒動の後、距離を置いていたからな。ジョセフ、お前何かやったか?」

「私めにそのような事は……」

「まあいい。それで事態が好転するなら、嬉しい誤算だ」


 私はグラスを煽ってウィスキーを流し込む。全く、本当に可愛い娘たちだ。

評価、ブクマ、いいね、誤字報告いつもありがとうございます。

今回も楽しんでいただけたら幸いです。

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