31. リインフォース邸に慣れよう1
コンコン。
ノックがする。
一の鐘は多分まだだし、今日は用事も無いし、いいや、もう少し寝ちゃおう。
……。コンコンッ。
再度ノックがする。誰だろう。
のそのそと隣を見ると、お姉ちゃんはまだ寝て……。何このベッド?!
あ! ここリインフォース邸だ。じゃぁノックは……。マリーさんかリリムちゃんだ! 起きなきゃ。私は慌ててベッドから体を起こして、ドアの外に声を掛ける。
「はい! 蒼です! 起きます!」
扉が開いて、マリーさんとリリムちゃんが部屋に入ってくる。
「失礼します。お嬢様方」
「おはようございます! よく眠れましたか?」
「はい、おかげで寝ぼけててすみません。お姉ちゃんもまだ寝てます」
私はお姉ちゃんの体を揺らして起こす。するとマリーさんが。
「お疲れでしょう、おやすみいただいたままで構いません」
「お二人の起きるタイミングが分からなくて、来るの早すぎましたか?」
「いえ、いつも私は一の鐘で起きて、その後お姉ちゃんを起こしてます。たまに、楽しみな日だとお姉ちゃんは早起きします」
「では丁度よかったですね。先程、一の鐘が鳴ったところですよ」
「え?! 寝坊した?! お姉ちゃん、おーきーてー!」
「……、後、一日……」
「日付変わるからね!」
「あは、シズク様、面白いですね」
「恥ずかしい……」
それからマリーさんがカーテンを開けてくれる。快晴だ。陽の光を浴びて、タルトもむにゃむにゃと起き出した。
「朝食まではまだ時間があります。湯浴みはなさいますか?」
「いえ、朝はしません。『バスタイム』」
綺麗な方がいいのかな、と思ってバスタイムを掛けて体を綺麗にしておく。
窓辺でタルトを挨拶がてら撫でつつ、伸びをする。
ストレージから着替えを出して、着替えを……。
「アオイ様、お着替えをお手伝いいたします」
リリムちゃんに服を取り上げられた。
これは私の仕事です! と、言わんばかりに私の服を抱き抱えて譲らない姿勢っぽい。
「お、お願いします……」
ボタンを上から順番に外される。ワンピースタイプの寝巻きだから、あっという間に下着姿にされる。見られてとても恥ずかしい。
「綺麗ですね」
「へ? あ、ありがとうございます」
褒められてしまった。リリムちゃんも綺麗ですよって言いたいけど、口から出てこない。とにかく自分の顔が赤いのが分かる。
私は早く終わって欲しくて、リリムちゃんのされるがままなる事にした。
ブラウスを着させて貰って、ボタンも掛けて貰う。スカートを履かせて貰って、ベルトを締めて貰う。貰ってばかりの至れり尽くせりだ。一度座ってください、と言われたので座ったら、靴下まで履かされてしまった。
私にしてはシンプルめのコーデである。懐かしの学校制服に近いかな。
「蒼ちゃん、綺麗だよぅ」
お姉ちゃんの声がしたので、慌てて振り向く。
「ちょっと、お姉ちゃん見てたの?!」
「うん、照れてて可愛かった。リリムちゃん、いい仕事するね」
「ありがとうございます、シズク様」
そういうお姉ちゃんもマリーさんに着替えさせて貰っているのか、丁度下着姿だ。
私はリリムちゃんにお礼を言って、お姉ちゃんの着替えをまじまじと見る。
こっちに気づいたお姉ちゃんが、なぜか見せつけてくる。この姉、恥じらいが無いのでは?
しかし、スタイルいいなぁ。そんなに変わらないはずなんだけど、何かが違う。胸? いや、くびれか? うーん……考えると虚しくなるからやめよう。
お姉ちゃんも着替えが終わったので、二人で互いの髪を『ブラシ』する。
終わったら、マリーさんとリリムちゃんに、髪に香油をつけて貰う。昨夜と違って今度は香りがする。シトラスかな。
よし、準備出来た! そしたらマリーさんが話しかけてきた。
「朝食はこちらで召し上がりになりますか?」
「え? みんな一緒じゃないんですか?」
「お客様によっては一人でお取りになる方もいらっしゃいますので」
「この家のルールに従うわぁ、でも、出来たら一緒に食べたいわね」
私もお姉ちゃんに頷く。
「かしこまりました。では、ご家族とご一緒に朝食となります」
マリーさんの先導で食堂へ向かう。食堂に入ると、ハインリヒ様が食卓について紅茶を飲んでいた。
「シズク、アオイ、タルト、おはよう。よく眠れたか?」
「おはよう、お義兄ちゃん。えぇ、ゆっくり休めたわぁ」
「おはようございます。ハインリヒ様。お姉ちゃん全然起きなかったよね」
『おはよう。ハインリヒ』
この家の事なり、ベッドの寝心地なりを雑談していると、ゲルハルト様とクラウディア様がやってきて、昨日と同じ位置に座る。
私たちは挨拶をして、ゆっくり休めた事を話す。
「休めたようで何よりだ。今日の予定だが、買い物に行こうと思う。その服も実に素敵だが、貴族としてやっていくための二人の服が無いだろう。クラウディア、一緒に来れるかい?」
「勿論ですわ、旦那様」
「二人もいいか?」
「はぁい」
「分かりました」
「ジョセフ、先触れを頼む。場所は……」
やっぱり服は買わないとダメみたい。
そして朝食が運ばれてくる。スープと籠一杯のパン、後はソーセージとハムエッグだ。意外と素朴……。合わせてくれたのかな……お祈りの真似をして、いただきます。
スープはオニオンコンソメだ。透き通って、とってもコクがある甘みがする。玉ねぎってこんなに甘くなるんだって初めて知った。
パンはライ麦ではなく小麦かな。白くてふわふわしている。ちぎって口に運ぶ。もちもちとした食感と小麦の甘さが口の中一杯に広がる。これもおいしい。
あ、籠の中にはライ麦パンもある。いろいろな種類を焼いてくれるみたい。もう一個、今度はライ麦パンを取って、ちぎって口に運ぶ。こっちはさっきより硬く、慣れ親しんだ酸味がする。
次にソーセージ。ナイフで切って口に運ぶ。ハーブが入っているのか、独特の香りがして臭みが全く無く、後から肉の味がじわっと口の中に広がる。
ハムエッグにも口をつける。黄身が、絶妙な焼き加減の半熟でとろっとしていて、この甘みとハムのしょっぱさが混ざり合ってとってもおいしい。
「シズク、アオイは黙ってしまっているが、おいしく食べられているのか……?」
「ゲルハルト様、あれは蒼ちゃんが一番おいしく食べている状態ですよぅ。食べながら頭の中で食レポしてるの」
「そうか、変わった趣味だな……」
「おいしいじゃダメなのか?」
「独特のこだわりがあるみたい、お義兄ちゃん」
「おいしく食べているなら何よりだわ」
「それは間違い無いわ、クラウディアママ」
「……私はパパと呼んで貰えないのか」
なんて会話に混ざる事は当然無く、おいしくいただきました。ごちそうさまでした。
「アオイ、食事は楽しめたか?」
食後の紅茶を飲んでいると、ゲルハルト様が尋ねてくる。
「はい! おいしかったです!」
「そうか、よかった」
紅茶を飲み終わって、では出かけよう、とゲルハルト様が立ち上がった。
私たちはそれに付いて行く。
さすがに領主夫妻を歩かせる訳にはいかないので、今日は私たちも馬車に乗る事にした。
馬車は一頭立てで、思ったよりシンプルだなと見ていたら、ハインリヒ様が、お忍び用の公然の秘密馬車だ、と教えてくれた。それ、領民にはバレバレじゃない。
馬車に乗ろうとしたら、ゲルハルト様が手を差し出してきた。これはまさか、エスコートというやつでは……。あわあわしていると、手を乗せて支えにして馬車に乗り込めばいい、と教えて貰った。そのエスコートで馬車に乗って、使用人たちのお見送りの元、馬車が走り出す。付き人はジョセフさんだ。ちなみにタルトは屋根の上。
中央通りを進んで、あっという間にウォーカー商会リインフォース支店の前に到着する。
突然の領主来訪にも関わらず、カールさんとアランさんがすでに待機しているのが窓から見えた。
ゲルハルト様のエスコートで馬車を降りると、二人にお出迎えされた。
かなり緊張して見えるカールさんが、意を決して言う。
「領主様、本日はご来店いただきありがとうございます。また、こちらから伺えず誠に申し訳ありません」
「先触れも出したばかりだしな。急だったから気にしないでくれ」
「ありがとうございます。では、応接間へどうぞ」
アランさんの案内で応接間へと入る。私たち四人では狭いみたい。私とお姉ちゃんは立っている。
「お席が確保出来ておらず、申し訳ありません」
「私は気にしませんので」
「雫も問題ないわぁ」
「二人がいいなら構わない。早速話をしよう」
ゲルハルト様が早速と促す。ゲルハルト様とクラウディア様の向かいの席に着くカールさんとアランさん。
これ、緊張するよねぇ……。
「では、本日のご用件を伺わせていただきます」
「知っての通り、二人を養女としたのだが、貴族として振る舞うための服が無い。そこで、この商会で布を売って貰いたい」
「かしこまりました。アラン、いくつか布を持ってきてくれ」
「承知しました」
頷いて部屋を出て行くアランさん。
「他にご入用の物はございますか?」
「いや、布だけだ。すまないが仕立ては別でやる」
「リインフォース領で商いをする者として、心得ております」
ん? どういう事だろう。
私たちが首を傾げていると、クラウディア様が教えてくれた。
「アオイちゃん、シズクちゃん、リインフォース家は専属の仕立て屋が街にいるの。だから服はそこで仕立て貰うわ」
「分かりました」
「分かったわぁ」
話しているうちに、アランさんが四本の布を持って戻ってきた。ちょっと息が上がっている。走って来たみたい。
「お待たせしました。当商店ですぐに用意出来る布はこちらになります」
「ふむ……」
「あら、いいわねぇ、光沢が派手じゃなくて素敵。色も二人にあってるわぁ。社交じゃ難しいけど、普段使いなら十分ですわ、旦那様」
「そうか、ならこれを四本共いただこう。それから、社交用として使用しても問題無い布も扱えるかね?」
「時間をいただければ、必ず」
「では入手次第、屋敷に届けてくれ。ペーターによろしく頼む」
「かしこまりました」
貴族の取引を目の当たりにしてしまった私とお姉ちゃんは、目が点になっている。
カールさんと目が合った。
ドウシテコウナッタンデスカ? と口が動いている。
ワカリマセン、と伝える。
それからジョセフさんが布を持とうとしたので、私はストレージにしまう事を提案する。
ジョセフさんは最初渋っていたが、しまう所を見てみたい、というゲルハルト様の鶴の一声で運ばせて貰える事になった。重いし嵩張りますしね。
とても驚いた顔をするジョセフさんだったけど、ゲルハルト様とクラウディア様は驚きよりも旅行の時に活用しようと思ったらしい。
商会を出て、馬車を再び走らせて広場を右に曲がり、領主邸の方へ戻る。先日泊まった宿屋の少し先に、一件のお洒落な洋服屋さんがあった。これは、オートクチュールというお店では?!
ゲルハルト様のエスコートで再び降りる。
するとジョセフさんと同じくらいの年齢の男性が店先に立っていた。
「ようこそいらっしゃいました。領主様」
「あぁ、先日ぶりだなエドワード。急にすまない」
「とんでもございません。まずは店内へどうぞ」
案内されて、店内の応接間に入る。今度はソファが人数分あったので、私たちも座った。
エドワードさんが、席に座ったゲルハルト様に近づいて話しかける。
「本日はいかがなさいましたか?」
「あぁ、ここにいる二人、シズクとアオイを養女とする事にした。それで、ドレスが無い」
「ではお仕立てでしょうか?」
「あぁ。布はさっき買ってきた。とりあえず普段用とダンス用を頼む」
「では、女性に任せた方がよいでしょう」
「なのでクラウディアを連れてきた。後は頼む」
「かしこまりました」
「分かりましたわ、旦那様。シズクちゃん、アオイちゃん、こちらにいらっしゃい」
「「はい」」
女性の店員とクラウディア様に連れられて、仕立試着室に入る。タルトは試着の邪魔になりそうなので、ゲルハルト様に預けてきた。
どうしてみんな、タルトに触れると厳かな顔になるの? そういう空気でも出てる?
「まず採寸させていただきます。それから、デザインを決めましょう」
「分かりました」
「よろしくねぇ」
私とお姉ちゃんは別々の女性店員に採寸された。こんなところまでってくらい。高校の制服作る時も、こんなに測らなかったよね?! え、そこも……?! お姉ちゃんに、今どこ測ってるの? って聞かれたけど、恥ずかしいのでどこなんてとても口に出来なかった。
この店員さん、今間違いなく私より私に詳しい。
それからデザインの選択になる。昼のドレスは露出が少なくて、マットな感じや煌びやかでなければいいとの事。貴族の流行は分からないから、細部はクラウディア様に聞きながら選ぶ。
まず私が選んだのはボディスとスカートが別になったツーピースドレス。スカートはふんわり膨らんでいて可愛い。中にペチコートを履かせているのかな。それから上下別れているけど、デザインが統一されているので、普通より長めに取られたボディスの裾が、オーバースカートのように感じられる。
「クラウディア様、私このデザイン、好きです」
「あら可愛い。ちょっとだけデザインを変えてもいいかしら?」
「はい。お願いします」
「クラウディアママ、雫はこれがいいわぁ」
お姉ちゃんも選んだみたい。こっちもツーピースドレス。スカートは軽くバッスルの入ったロングスカート。布の揺れ方が綺麗。それにボディスだけど、ぴっちりと言うより、ウェストのところを幅広く締めて、肩から胸にかけてはゆったりとさせてアクセントを作り出している。お姉ちゃんに似合う綺麗な感じだ。
「いいわねぇ。シズクちゃんに合わせるために、こっちもちょっと変えて貰うわね」
「はぁい。ありがとう」
「ところで、あなたたちお揃いの服は着ないの?」
「互いの服を選ぶ事はあるけど、お揃いはあまりしないわぁ」
「私が、お揃いは恥ずかしくて……」
「せっかく双子なんですもの、私が見てみたいわ。一着でいいから、お揃いで作っていいかしら?」
「勿論よ!」
お姉ちゃんが、クラウディア様が言うんだから当然頷くわよね? という勝ち誇った顔でこっちを見てくる。悔しい、なんか悔しい、けど、断れない。
「……はい」
内心は、恥ずかしけどちょっと嬉しくて楽しみなのは内緒だ。
それからいつも通り、一着は互いに気になったのを相手に薦める。
私はワンピースドレスをお姉ちゃんに薦めた。露出は無くて締まったデザインなんだけど、胸元から腰にかけてのフリルと、スカートに大きめに取られたプリーツが可愛さを出している一着だ。
お姉ちゃんから薦められたのもワンピースドレスだ。上半身はゆったりめでシンプル。そしてウェストで一度締めて、そこからスカートが伸びている。スカートはパニエで広げているのか、大きく広がっていて、揺れた時のシルエットが可愛い。
細かくは着た時にもう一度しっかり見ようっと。
クラウディア様が推してきたのは、ツーピースドレスだった。上はボディスで、ブラウスのようにシンプルなデザイン。肩口に小さくフリルが付いている。特徴的なのはスカートで、ハイウェストに締めたところから足首あたりまで大きく取ったバッスル。後ろのシルエットがとっても綺麗。
ダンス用のドレスは、クラウディア様が選んでくれた。
動きを阻害する事無く、布が羽ばたくように揺れるデザインだ。胸元が開いていて、でも薄手のレースで隠してある。綺麗。これを着て踊るの? 私が?
「色は、持ってきた生地を当てはめましょう。アクセントの別色は、他に生地はあるかしら?」
「ございます」
「なら任せるわ」
「承知致しました」
「出来たら領主邸にお願いね」
完成が楽しみね、と私とお姉ちゃんを連れて応接間に戻る。
すごい楽しかったけど、慣れない服選びでちょっと疲れた。お姉ちゃんは興奮しっぱなしだ。
「終わったかね」
「えぇ、旦那様。出来上がり次第、家に運んで貰います」
「あぁ、分かった」
『人間は大変だね』
「タルトちゃんも、着てもいいのよ?」
『僕は遠慮するよ、クラウディア』
「楽しみだわぁ」
「楽しみです。ところでゲルハルト様、お支払いは……」
「アオイ、何を言ってるんだ」
「え、でも、私とお姉ちゃんのドレスですし……」
「家族からお金を取る訳が無いだろう」
「ありがとうゲルハルトパパ!」
お姉ちゃんがゲルハルト様に抱きつく。まんざらでもなさそうなゲルハルト様。
いいのかな……。
「ありがとうございます」
私はお礼を言う。ちょっとしょぼんとしているゲルハルト様と、二人をたしなめるクラウディア様なのでした。
それから、馬車に乗って領主邸に戻る。
仕立て屋さんにいる時に、三の鐘が鳴っていたから、もうお昼は過ぎている。
でも休憩も必要だから、領主邸に戻って遅めのお昼を取る事になった。私たちは食堂へ行く。
食堂に入ると、紅茶を飲んでいるハインリヒ様がいた。
「おかえり父上、母上、義妹たちよ。ドレスは出来たか?」
「えぇ、可愛いのが頼めたわぁ」
「ハインリヒちゃん、きっと二人が可愛くて卒倒するわ」
「母上、いいかげん『ちゃん』はやめてくれ」
「あら、いいじゃない」
「えっと、楽しみにしていてください」
私は紅茶を飲むハインリヒ様の隣に座る。お昼ご飯が運ばれてきた。パンとスープ。カトラリーの数を見ると、メインディッシュは別にあるらしい。ワインを勧められたけど、私は果実ジュースを貰う。お姉ちゃんは言うまでもない。
スープはポタージュ。緑色だ、ほうれん草かな。いただきます。
右端のスプーンを取って口に運ぶ。音を立てないように気をつけて……。ほうれん草の味がするのに、えぐみや臭みが無い。青々しい優しい味がする。牛乳を一緒に入れると、臭みがなくなるのかな。後、食感をどろっとさせるために、じゃがいもも入っている。おいしい。
パンは朝と同じく小麦のパンが主体。一口大にちぎると、ふんわりとして柔らかい。小麦の甘さを感じる。昼はライ麦パンは無いみたい。
次に肉料理が運ばれてきた。子牛のステーキだって。スプーンより内側にあったナイフと、左側のフォークを手にとって、一口大に切って食べる。柔らかい……。それなのに脂身がほとんど無くて赤身の味がしっかりしておいしい。
デザートにソルベ。料理人さんは火属性と水属性に適性があるんだって。まさに料理の天才だね。スプーンは、正面の奥かな。少なくて分かりやすい。溶けないうちに一口食べる。葡萄のソルベだ。甘みとほのかな酸味が、口の中をさっぱりとさせてくれる。
やっと、おいしく食べられた気がする……ごちそうさまでした。
「夕食は、アオイとシズクに任せていいかね?」
食後の紅茶を一口含んだ時、ゲルハルト様が尋ねてきた。
「はい! この後お姉ちゃんとタルトと狩りに行ってきます!」
「待っててねぇ」
「怪我に気をつけるんですよ」
「義妹たちよ、手助けはいるか?」
「大丈夫よぅ、楽しみにしてて」
私たちは、早速出かける。今日の夕飯の食材、待っててね!!
評価、ブクマ、いいね、誤字報告いつもありがとうございます。
今回も楽しんでいただけたら幸いです。
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2022/05/01 誤表記訂正
2022/05/17 表記ゆれ訂正




