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16 裏で

「大成功でしたね! ありがとうございました!」


配信も終わり、詩音が礼を言ってくる。


「こちらこそいきなりのコラボで振り回してすいません」

「いえ、とんでもない」


詩音と敬語で話すのは中々むず痒い。

変な心地に悶えていると詩音が今日の本題を切り出してきた。


「ところでつかぬことをお聞きしますがよろしいでしょうか?」

「はい」

「星月怜輔という人に心当たりは無いでしょうか?」


来た。

しかし、僕の答えは既に決まっている。


「いえ、存じ上げませんが」


詩音を危険な目には合わせられない。

今回の身バレしそうだった状況を経て、より一層その思いを深めた。

今でさえあまり気を許せない状況なのだ。

これ以上危険に晒す要素を追加するわけにはいかない。


「そうですか、突然失礼しました。」


詩音のしょげたような声が聞こえる。

ただ、こちらも情報は仕入れておきたい。


「どうして僕に心当たりがありそうだと?」


僕の問いかけに、こちらの喋って欲しいという願いが通じたのか詩音はぽつぽつと怜輔について話しだした。


「星月怜輔というのは私の幼馴染です。心当たりがありそうというよりかは私にレイフさんに対して心当たりがあるんです」

「はあ」

「声や口調は違うのですが、レイフさんの喋り方の端々に怜輔の雰囲気を感じ、趣味や好みが似通っているのです。怜輔はクラシックやVTuberが大好きでした。レイフさんは第九を歌っておられましたし、好きじゃなかったらVTuberをやらないと思います。ただこれだけならレイフさんを怜輔だとは思わなかったかもしれません」


見抜かれていそうとは思っていたが、この言葉は僕にとって地味にショックを与えるものだった。

(ほん)(もの)だと見破られないように声や口調を変えたつもりだったからだ。

趣味や好みは中々変えにくいものだとしても、まさか喋ることの範疇で悟られるわけがないと思っていたのだ。

結局は本物に縛られ続けたままだったというわけだ。


だが、問題はそこではない。

意識を切り替えて詩音の言葉を待つ。

次の言葉がとても重要なのだ。


「レイフさんのデビュー日が、怜輔が倒れたっきり目を覚まさなくなった日だったんです」


…………え?

今なんて言った?

まるで(ほん)(もの)が死んだみたいな言い方じゃないか。


「……それは、怜輔さんは今は?」

「今も目を覚ましていませんが、植物状態で脳死一歩手前だとのことです。倒れた理由は今でも分かっていません」


どういうことだ。

全くスイートしてないことから(ほん)(もの)の身に何かあったんじゃないかとは思っていたが、植物状態、しかも脳死一歩手前? 確実に僕の誕生に関係がある。

怒りが突然湧き上がる。

明らかに違法な人体実験が行われたはずだ。

そしてそれは被験者に何の知らせもなく行われ、一人の少年の未来が潰された。


「……そうですか、話させてしまい申し訳ありません」

「いえ、私が言い出したことですから」


怒りを抑え、なんとか会話をつなげる。

そのまま次も誘っていいとの了承を取り、通話を終えた。

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