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12 嫉妬

「クソッ、なんでこいつばかり上手く行くんだ!」


薄暗い部屋の中で男が悪態をつく。

部屋の唯一の光源となっているPCの画面にはシオンの配信が映っていた。


「結局女じゃなきゃ成功できないのかよ。同じレイフのソフトを手に入れたというのに、男だとVTuberとしてはどうしようもできないじゃないか」

「いや、男でも人気出ているVTuberはいるだろ」


思わずツッコミを入れる。


「見せ方次第だとは思うぞ。いくらVTuberのリスナーが男ばかりで男性アイドルとしての売り方が難しいとはいえ、男に人気の出る男の配信者だっているだろ」

「そのやり方が分かったら苦労しないだろ。それならバズるやり方を考えてくれよ。そのためのAIだろ?」

「君のことを全然知らないからどんなのが合うとか分析できないぞ。VTuberとしてバズりたいなら上手く喋れるスキルは習得しないといけないな」


詩音の場合は元々人前で喋るのが得意だったからスムーズにVTuberデビューできたというのがあるが、この男の場合はまた別だ。

神絵師になってバズる。MIX師や動画編集者になってバズるということなら比較的簡単だが、残念ながら喋りのスキルだけはこちらではなんともできない。


喋るというものは一見簡単そうに見えて難しい。

一般に陽キャと言われるような話すのが好きでどんどん会話ができる人、そうではなくてもコメントやマシュマロのように話題さえ提供されればいくらでも掘り下げられる人がいるように、喋りと言うのは才能や育った環境によって身に着くスキルだ。

大人になってから身に着けるにはかなり意識してトレーニングを積まなければならず、一朝一夕には習得はできない。

この男を見る限り、喋る相手もあまりおらず、すぐに根をあげそうなタイプなので中々難しいだろう。


「ちっ、同じことばかり言いやがって」


おまけにこの性格だ。

仮に喋れるようになったとしても人を不快にさせることばかり言うだろう。

僕もうんざりして必要以上のことは言わないようにしている。

自分の力で神絵師になれるだとか投資の売買で稼げるとか言い出さないのはそれが理由だ。


「たまたまソフトを手に入れたからって、しかも女だからちやほやされると思って調子乗りやがって」


そして勝手な思い込みで他人を語ろうとする。


「そうだ、あいつの身バレしてやってブログにまとめたら稼げるんじゃねえのか? おい、調べてアップしてくれ」


こっちにとんでもないことを頼んでくる。

ホント何なんだこいつは。


「他人の個人情報をやたらと調べるものじゃないぞ。それに彼女の発言で特に洗えそうなものはない」


もちろん詩音には最初から注意してあるし、自分も気を付けて見張っている。

特にバレそうなものはないはずだ。


「ホンッと使えねえな。アンインストールするかな。もういい、自分で探す」


そう言いながらPCをいじり出す。

アンインストールするならもうしてほしいくらいだ。

そうしてしばらくするとマウスを掴んでいた手を止めた。

男がニチャアと笑い、口を開く。


「あるじゃねえか、やっぱ使えねえな」


……え?


「あいつは現役東大生だ! エリートさんよお、お前の人生終わらせてやる!」


ガハガハと笑うその顔の先には、シオンの発言と同じイベントを語る東大生のスイートが表示されていた。

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