聖女の回文書

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「私(わたし)、待(ま)ちましたわ。」

　きつく肩寄(かたよ)せ、夜高(よたか)く月(つき)。

　躊躇(ためら)う傷(きず)も好(す)き、恨(うら)めた。

「良(よ)い知(し)らせらしいよ。」

　嘘(うそ)、いつも追想(ついそう)。

◇◆◇

「聖女(せいじょ)は、早(は)よ弑(しい)せ。」

　白(しろ)の狼煙(のろし)。

　乱(みだ)れた国(くに)と、隠者(いんじゃ)の野心(やしん)、意図(いと)、肉垂(にくた)れた身(み)。

　偉大(いだい)なる世界樹(せかいじゅ)は願(ねが)う。

「金(かね)は油脂(ゆし)。行(い)かせるな。遺体(いたい)。」

　神意(しんい)は見(み)えず、笑(え)みは因子(いんし)。

　神(かみ)の奇跡(きせき)のみか。

　力(ちから)満(み)たし、民等(たみら)勝(か)ち。

◇◇◆

　遠(とお)く日々(ひび)の果(は)て。刄(は)の響(ひび)く音(おと)。

　「私(わたし)、負(ま)けましたわ。」

　黒(くろ)き清(きよ)き記録(きろく)。

　見(み)るな。

　生贄(いけにえ)に、刑(けい)成(な)る身(み)。

　次代(じだい)まで封(ふう)じた紙(かみ)解(と)くなかれ。

　金具(かなぐ)富(と)み硬(かた)し。初心(うぶ)で巻(ま)いた詩(し)。

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ワタシ マケマシタワ……。

センモジハ ムリデス。