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俺が知っている世界は、こんな幻想物語じゃない  作者: オレンジ
一章 世界に蔓延るモンスターと共に
3/23

一話 獰猛な顔に白い体毛、腰にはカットラス ①

ゆっくり更新していきます。

「知らない天井だ……」


 まさか、自分がこの言葉を口にするとは思いもしなかった。


 筋肉痛にでもなったかのように重かった腕を持ち上げて目の前に翳すと包帯なのか茶色い布が巻かれていた。


 しかし、病院なんて大層な場所に寝かされている訳では無さそうだ。寝具はベッドなどではなく動物の皮を何枚か重ねたものが敷かれているだけで、もちろんかけられてるものも布団ではなく皮一枚だ。上体を起こし、八畳ほどの部屋を見渡せばゴツゴツとした土壁でまるで洞窟だ。


 洞窟なのに見渡せるほど明るいなと辺りを確認すると、光る苔が天井含めあちこちに生えている。


「真島翔、十七歳」


 状況確認も兼ねて、自分の名を口にする。記憶喪失ではなさそうだ。


 でも、どうしてこんな所にいるのかわからない。


「モンスターの釣り役として討伐隊に同行してたよな?」


 どうも、ここにいる直前の記憶が混濁している。それに、この部屋の状況は文明的ではあるが人類もモンスターの出現により衰退したがここまで文明が逆行してはいない。


「ドアもあるけど歪だな」


 唯一の出入口であろうその扉。外枠もあり、一応昔ゲームで見た炭鉱内の木の扉って感じだが所々隙間があったり、穴が空いてたり特に計りもせずに適当に切った木の板を張り付けて作ってあって、一般的父親の日曜大工でももう少しましに出来そうだと思う。ただ、この部屋の主が不器用なだけならそれまでなのだが。


 さて、どうしよう。


 頭を軽く掻きながら考える。このまま、看病してくれたであろうこの部屋の主を待つか、部屋から抜け出すか。


 幸い、体に痛みは感じられず多少凝り固まっているが解せば動かすぐらいなら支障は無さそうだ。


「とりあえず、逃げる逃げないは別にして」


 起き上がり、体を解しドアが開くか確かめる。つもりだったが、下半身がスースーする、涼やかだ。


 パンツ一つ履いてなく下半身は丸出し、もちろん上半身も何も身につけてなく、全身至るところ茶色い包帯のようなもので巻かれているのみだ。


 隠せるものが掛けてあった皮布しかなく、とりあえずそれで下半身を隠してドアノブに手を掛けた。


「おっ! 開いた」


 ドアノブを引くと抵抗なくドアが動いてしまったので思わず驚いて声を上げてしまう。


 顔だけ外に出して見渡すと、一見して洞窟か坑道という感じだ。部屋同様光る苔があちこちに生えていて無難に歩けそう。正面は壁、右向けば行き止まり、左向けば道が続いている。


 恐らく、この道を行けば外に出られるだろうけど……安全か?


 モンスターに遭遇する確率は極めて高そうで、言わずもがな、俺には追い払う術もない。逃げるにしても目的地なく逃げ続けられるとも思えない。かつ、裸一貫。


「自殺と同じだな」


 俺はゆっくりドアを閉め、元いた位置に戻ることにする。


 ここに寝かされて生きてるんだ、留まってるほうが安全だろう。それに治療をしてくれているんだ。部屋の主さんもきっと優しい人に違いない。


 ただ、こんな場所を利用しているのは謎だが。一体どんな人物なのか可愛い美少女……はないな、屈強な髭面のおっさんってところか。


 そう、考えを巡らせて寝床まで戻る。


「うおっ!?」


 ふと、足元を見たら、変な物体があった。


 驚き、思わず飛び退き壁際まで後退る。


「なに!? なに!?」


 寝床にあるその物体は、黒く丸くバスケットボールぐらいの大きさで、毛に覆われていて、荒野で転がる草、タンブルウィードのような形をしている。


「ひっ!?」


 その物体が動く。毛がうねうねと蠢く。


「キシシシッ、ビビったか? ビビったか? キシシシッ」


 そして、体が半分に裂けたかと思ったら、そこから笑い声が聞こえてくる。


 モンスターだ。

長いので二分割しました。

一時間後更新です。


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