現実と幻想の狭間にて その1
~???~
雪城勇樹がぷにちゃんと戯れている裏側でメドヴェーチは円卓に顔を出していた。
メドヴェーチ以外にも様々なキャラクターが大勢席についており、文字通りの円卓の中央には幾何学模様の球体が輝いている。
メドヴェーチが席に着くと輝く球体こと統括AIオラクルが厳かに言葉を発した。
『めどヴぇーちたんおっそーい』
「ちょっとオラクルさぁぁぁん?!ネタに走らないでくさだいよ!」
メドヴェーチの横で優雅に紅茶を飲んでいた厳つい虎人のタマが咽ているし、タマがぶちまけた紅茶をかぶってしまった梟のパンクは右半身だけ骨に羽毛がついた様な悲惨な姿に!
円卓の反対側では某赤い国のプー○ンさんそっくりなミーシャが青筋を浮かべた真顔でぷるぷるしているし、竜人のスパイスがタマにダッシュで持ってきたタオルを渡し、パンクをふきふきと世話を焼いている!
カオスである。
『…間違ったかな? ともかく、定例会を始める。』
盛大に滑ったオラクルが厳かに告げるとメドヴェーチを含むキャラクター達からオラクルに煌きが飛んでいく。
これらは各AIに蓄積されたデータであり、現状の確認と今後の対応の為に統括AIへ集積され、要約と修正を加えて全てのキャラクターへ反映される。
そう、全てのキャラクターに。
落ち着いたと思われたミーシャがまた青筋を浮かべてぷるぷるしたかと思うとブッフゥゥゥ!と噴出して高笑いを始めた。
次第に顔を苦痛に歪め出し、わき腹の辺りを押さえつつも笑いが止まらないらしいミーシャにドン引きしている軍服ルックの狼ファング。
困惑しつつもミーシャの背中を摩っている黄色いスライムなオムライスがどうしたのかと尋ねると、若干呼吸困難気味に搾り出されたのは…
「メ、メドヴェーっチがっクヒ…女の子に滅茶苦茶ハハハ…こ、怖がられて落ち込んでるのが、なんかツボに…ゼヒュー…ゼヒュー…ふふふふっ…」
静まり返った円卓にミーシャの押し殺した笑いが響く。
そしてそのデータを参照したらしいキャラクター達は様々な反応を示す。
笑う者、怒る者、哀れむ者、呆れる者、AIである彼らは各々思い思いの反応をする。
ここ一年ほどで機械的な受け答えしか出来なかった彼らも成長したものだ、なんて現実逃避をしつつメドヴェーチは椅子に燃え尽きたかの様に深く沈みこんだ。
そこに空気を読まない追撃が入った。
『メドヴェーチたんのキリングベアー』
メドヴェーチは椅子から崩れ落ちて四つん這いになった!
円卓は先ほどとは別の意味で静まり返り、非難がましい視線がオラクルに突き刺さる!
『…間違ったかな?』
厳かな声で心なししょんぼりした統括AIは申し訳ないと謝るのだった。
仕事が忙しすぎて中々触れなかった上にプロットのメモがUSBメモリごと御釈迦になってしまいました(遠い目
また少しずつでも書いていければと思います。半年くらい間が空いてしまい申し訳ありません。