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友人の食糧問題(桃花)

作者: 狼花

  あー、めんどくさい。

徹夜で寝落ちして気持ちよく寝ているところをスマホの着信で叩き起こされた最悪の朝。

電話に出るとタケルから

「桃花、飯作ってくれ〜」

とSOSが発信されて現場に向かったのだ。


 「ほら、できたよ」

こたつのテーブルで砂漠の遭難者のように突っ伏しているタケルの上に作った料理を置いていく

「悪いな」

「もう少し罪悪感を抱けよ、私はあんたの家政婦じゃないの」

幼馴染の義理で来てやっているが人の安眠を妨害するなと思う。


 「いただき・・・おい、飯がないぞ」

「ご飯はあと20分くらい待ちなよ」

「それになんだ、目玉焼きと卵焼きと温泉卵って、卵料理しかねぇ」

「うちから持ってきたの卵だけだったの」

ぐちぐち文句言わずに食えよ。

こちとら貴重な日曜の休みの時間を返上してきてやっているのに文句を言われる筋合いはない。


 「よし、じゃあ飯ができたら起こしてくれ」

タケルは食べるのをやめてコタツで寝転がる。

「20分もしたら料理が冷めるでしょ」

「俺、白飯がないと食えねーんだ」

なんとふてぶてしい砂漠の遭難者だろうか。

喉が渇いて死にそうだというのに『川の水は絶対に飲めない』みたいなことをいうやつだ。

砂漠にミネラルウォーターはないというのに。


 そんなわがままな砂漠の遭難者にこれ以上付き合ってやる理由はない。

「私、帰るからね」

「おう、ありがとう。助かったぜ」

ホント現金なやつだと思う。電話に出たときはいまにも死にそうな声だったのに。


 私が立ち上がると同時に隣の部屋のドアが開いた。

「お! お前は七野さん家の末っ子」

「こんにちはおじゃましてます」

・・・  タケルの兄貴だ  ・・・


 「兄ちゃん、どっかいくの?」

タケルの兄貴はどうしたのかマジマジと私が作った卵料理を見ている。

「バイト。タケル、目玉焼きとギョク残すならもらっていくぞ」

「えっ」

驚くタケルをよそにあっという間に目玉焼きと卵焼きを平らげるタケルの兄貴

「ほう。目玉焼きは塩と胡椒、ギョクの方は砂糖入れたんだな。うまいな」

「あ、ありがとうございます」

とりあえず褒められるのは嬉しい。

でも、それは食べきれなくて残してるのではなくご飯ができるまで待機してあった料理ですとは言えなかった。


「タケル、お前飯はちゃんと残さず食えよ。持ったいねー」

そういうとタケルの兄貴は出かけて行った。

・・・  嵐のような速さだった  ・・・


唖然とする私たち。いち早く現実に戻ったのはタケルだった。

「と、桃花。もう一度作ってくれ」

再び食糧問題に陥るタケル


     ・・・ だから早く食べろと言ったのに… ・・・


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