身を注ぐ準備
朝日が眩しい
カーテンを閉めずに
そのまま
寝落ちしていたみたいだ
昨日のままの服
昨日のままの部屋
一人だけ
明日になる事を
忘れたみたいに
変な虚無感だけが残る
スマートフォンで
全てを確認すると
湯船にお湯を張る
シャワーだけでは
まだ寒いから
しっかりと温まりたい
そして
お湯を沸かす
コーヒーが飲みたい
七杯分ドリップしてしまえば
湯上がり後でも飲める
一日は保つだろう
お湯を注いでいると
タイマー音が鳴る
あっちのお湯は
注ぎ終わったようだ
一旦中断して
風呂場へ行き
お湯を止めて
少しだけ
ずらしておいた風呂蓋を
本来使う姿にした
戻ると
ドリップ再開
味は変わるだろうが
必要な物は
そちらでは無かった
頭から洗い
全てが終わると
湯船に浸かる
百になるまで
数えなさいと
言われた記憶を
思い出す
ストップウォッチで
1分40秒にした方が
正確だが
どうやって狡賢くなるか
その勉強であれば
あちらが正しい
性格を見る時にも
重要かもしれない
湯船から上がった
脱衣所に
パンツを二枚持ってくるという
たまにやってしまう失敗に
苦笑いしながら
下だけスウェットを履く
分けて収納した方から
しっかり取った方が良い
いつかの教訓だ
その教訓を忘れ物籠に入れながら
Tシャツを取りに行き
少し厚めの上着を最後に着た
コーヒーサーバーから
カップにコーヒーを注ぐ
今日はまだ
注ぐしかやっていない
そんな気がしながら
一口
コーヒーを飲んだ