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二十話

____________数分前。


 第一席の失踪により慌ただしい様相を呈した参謀本部に、突如アラーム音が鳴り響いた。


『緊急事態発生、緊急事態発生。高等、超高等アンノーンの、高速移動を確認。繰り返す。高等、超高等アンノーンの高速移動を確認……』

「…………………………………」


____________その瞬間、一瞬にして本部内のすべての人間の動作が止まった。


「何っ!?どういうことだ!!何故今更になって奴らが動いた!!!すぐに自体を把握しろ!!感知班をここに呼べ!!!」


無線に話しかけていた首相が立ち上がり、咆哮する。静寂が、混乱へと一転する。


「ただいま高等、超高等アンノーンの計三体の移動を確認しました。それぞれ、三方向に分かれて特化班に接近中とのことです!!」

「すぐさま特化班に撤退命令を出せ!!!今すぐに、本土までだ!!!」

「首相!!特化班と連絡が繋がりません!!!恐らくは超高等アンノーンの接近による、電波阻害かと!!!警報が発令した直後、回線が完全に立たれました!!!」

「なんだと!?ならば東海に指令を送れ!!!戦闘機を出動させ、撤退の旨を伝えろ!!」


「既に送信済みです!!!」


本部が混沌と化す。緊急事態に居ても立っても居られなくなった千歳は、自らも戦地へ赴こうと、本部の出口へと向かう。部屋の外に一歩踏み出そうとしたその矢先、首相の声が飛んだ。


「西条院二席!!!すまないが、まだ任務は『解除』できない!!しかし、すぐさま出動準備をしてくれ!!詳細を確認し次第、『任務解除』か『本土防衛』かの判断を下す!!」

「………………ッッ!!!了解!!」


超高等アンノーン。その強敵が出た以上、特化班総戦力でことに臨むしか道がないことを、既に千歳は理解していた。しかし、現状として前戦に特化班の首席と二席はいない。そして向こうへ連絡が繋がらないというこの状況下で、高速で近づく超高等アンノーンと、引くに引けない特化班の『誰か』が衝突することは明々白々であった。


 加えて、仮にそれが『一人』だった場合、いくら六席といえど対応は不可能である。確実に、圧倒的に負け、死ぬ。最高戦力の正希もまだ現場には到着していない。部屋を出て、戦闘準備を行う間に、千歳ができることは一つである。


「正希…………何とか間に合って!!!」


________三時間前に行方をくらました第一席が、六席の誰かが犠牲になる前に、戦場に到着すること。その一点を千歳は願うのみであった。


 ✳︎


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