夜明け。―望乃夏
「……………………ふみゅ…………ふぇっ、ふぇっくしょい!?」
………………うう、さむ………………
私は、自分のクシャミで飛び起きた。………………もう朝かな。
身体を起こすと、まず一面の肌色が目に入る。………………ほへ?メガネをかけてよく見ると、飛び込んできた色は、私の肌。………………それも、全身。………………寝起きの頭を無理やり働かせてわかったのは、私が全裸だということ。…………………………なんで!?
「ひっ………………ひゃぁぁぁぁぁ!?」
情けない悲鳴を上げて掛け布団を身体に巻き付ける。すると、隣で寝る雪乃がモゾモゾと動き出して、
「………………何よ、うるさいわね。」
ひょこっと起き上がる。
「ゆ、ゆゆゆゆゆゆゆきのんのん!?」
「………………私の変なあだ名を開発しないで。…………それよりどうしたのよ、こんな朝早くに。」
「わ、わたわたわたわたし、は、はだだだだはだかかか」
「………………望乃夏、まず落ち着きなさい………………言いたいことは大体分かるけど、昨日のこと覚えてないの?」
そう言われて、必死に寝る前の記憶をたどる。………………なんか、モヤがかかったように記憶が飛んでるとこがあるんだけど………………それでも、私が寝る前にしたことをおぼろげながらも思い出す。……………………私は、沸騰した。
「………………思い出したみたいね。」
「ゆ、ゆきのののののののん!?ボク、一体何を………………!?」
「名前を引き伸ばさないで………………もう、驚いたわよ。…………………………いきなり、脱ぎ始めるんだもん。」
二人して、かぁぁ///っと真っ赤になる。………………うう、タイムマシン作って昨日の私を全力で殴りに行きたい………………。
「………………とりあえず、早く服着なさい。そして布団を返して。」
「ご、ごめん…………」
恐る恐る布団を手放して、床に散らばった私の服を身につけていく。………………ほんとに昨夜の私はナニしてたの………………?
「……………………雪乃、一つだけ聞いていい?…………ぬ、脱いだ後…………ボク達で何してたか教えてもらえるかな?」
「そ、それは……………………」
雪乃がみるみる赤くなっていく。
「ちゅ、ちゅー、しただけよ…………あと、抱き合った、だけ。」
「………………そ、それだけ?」
「………………わ、悪かったわね!!………………ウブで、ヘタレで…………。」
「いやボクそこまで言ってないからね!?」
………………ああ、開けゆく空が綺麗だね。
とりあえず服を身につけると、雪乃が包まる布団に戻る。
「…………ちょっと、もう少ししたら起きる時間よ?」
「だって寒いんだもん…………。」
雪乃を湯たんぽ代わりに暖をとる。
「…………もう、しょうがないわね。」
モゾリと雪乃が動いて、私と向き合う。私もそれを見て、目をつぶって待つ。………………けど、いつまで待っても雪乃は来なくて。
「………………?」
恐る恐る目を開けると、雪乃はプルプルと震えてた。
「………………望乃夏、ごめん…………………ちょっと、待ってて…………」
と、布団を這い出す。
「………………雪乃、どこ行くの?」
「………………の、望乃夏が起きてくれなかったから耐えてたのにっ………………ドキドキしたせいで………………ちょっと、待ってて………………すぐ戻ってくるから…………」
ふぅん…………?私は雪乃の手を握って、
「………………ダメって言ったら?」
「の、望乃夏………………ふざけ、ないでっ、…………」
雪乃が物凄い形相で睨む。
「………………ごめんごめん。ボクも、一緒に行っていい?」
「そ、それなら早くして…………。」
名残惜しいけど、私も布団を這い出して雪乃に付いていく。
夜空は、もう終わりを告げていた。