雪乃のヒミツ……?―望乃夏
気まずい空気の中、白峰さんを連れてお風呂に向かう。
「…………墨森さん、」
「どうせボクはかわいいの似合いませんよーだ。」
ちょっとだけ拗ねる。
「………………似合うも何も、人に見せる物じゃないし…………むしろ見られたくないような…………」
…………まぁそうだけどね。気分の問題ってやつですよ。
そんなことを話していると、すぐに大浴場に着く。脱衣所の扉を開けると…………あれ、珍しい。この時間で誰もいない。ラッキー。
「じゃ、私ここ使うから………って、」
そそくさと隅っこの方に逃げる白峰さん。
「…………なんで逃げるの。」
「…………むしろなんで服を脱ぐのすら一緒にならなきゃいけないの…………」
「いや、上がる時お互い近いとこだと便利かなって。」
「…………しょうが、ないわね。」
そう言って白峰さんはスカートに手をかける。私はその隣で一緒に脱ぐ。…………けど、上下を脱いだあたりからお互いをチラチラ見て、先に進まない。
「…………何よ。」
「いや、そっちこそ。」
「………………悪い?こんなので。」
「いや………………イメージによらず、かわいいなって。」
「………………それをあなたが言うの?」
上はスポーティで落ち着いた雰囲気だけど、下はしっかりとかわいい女の子モード。……………白峰さんにこんな一面があったなんて。
「………………」
見つめ合うこと30秒、ついに私が折れて全部脱ぐ。それを見た白峰さんも、素肌を晒した。
「………………なんか、恥ずかしいね。」
「う、うるさい………………。」
白峰さんが、真っ赤な顔をそらす。
「とりあえず、入ろっか。」
と、浴場への扉に手をかけた途端。向こうから扉が開いて、人が出てくる。
「あれ、雪乃じゃん。」
「経堂先輩…………いつもめんどくさいからってシャワーなんじゃ。」
「あー、今日は風呂の気分なのよ。それじゃーな。」
とだけ言って、すたすた出ていく。…………なんか、不思議な人だったな。そして、
(大きい)
何が、とは言わない。自分の、そして白峰さんのメンタル的にも。
「…………白峰さん、あの人は………………」
「…………私をバレー部に連れ込んだ先輩よ。」
「………………なるほどねぇ。」
「………………まぁ、見かけはあんなんだけどいい人よ。見かけはアレだけど。」
あ、やっぱり同じこと考えてた。