望乃夏のヒミツ。―雪乃
言われるがままに、私は制服の上を脱いでブラウスとスカートだけになる。
「うーん、どっちもシミになってる…………。ちょっと待ってて。」
墨森さんが給湯室まで走ると、すぐに洗剤と布巾を持ってくる。
「私の知識が正しければ…………」
と、布巾に洗剤を染み込ませる。そして私のスカートに手をかけて…………そのまま捲られる。
「いっ、いきなり何をっ」
「はい、そのまま動かないで。」
スカートの裏地に手を当てて、シミをぽんぽん叩く墨森さん。
「…………すごい」
完全には消えなかったけど、それでも遠目には分からないぐらい薄くなった。
「ふぅ………………ひとまずはこんなもんかな。ブラウスの方は襟元だけだから、洗濯すればどうにかなりそう。」
「………………ありがと。」
「問題はカーディガンの方だね…………ベストはなんとかできるけど、カーディガンは材質的に難しい、かな………………。」
「…………別にいいわ。私の、せいなんだし………………。」
「…………冬休みになったら、クリーニング出そっか。とりあえず私はベストの方のシミ抜いちゃうから、白峰さんはお風呂セット用意して待ってて。」
「…………墨森さんはどうするの?」
「…………あはは、ボクは上だけ取り替えれば大丈夫だから…………そうだね、そこのクローゼットに入ってるから適当に一枚出しといてくれる?」
「…………わかった。」
私のお風呂セットはすぐに用意できた。後は…………墨森さんのだけ。
クローゼットの引き出しに手をかけて、少しためらう。いくら頼まれたからって、人のクローゼットを開けるのはちょっとだけ勇気が要る。
…………えい。引き出しを引いて中身を見ると…………
「あ、そっちじゃなくて二段目っ」
慌てて墨森さんが飛んできて引き出しを閉める。
「………………意外と、かわいいの持ってるのね。」
「…………ばか。」
「…………」
「………………体育の時は、流石に、ね。それに………………ボクだって一応は女の子だし…………。」
…………空気が、更に重くなった気がする。
望乃夏メモ:「…………紅茶は、水溶性の汚れだから、台所洗剤である程度は落ちる…………けど無理はしないで」