清拭、そして戦い。―望乃夏
「…………じゃ、じゃあ、いく…………よっ」
「う、うん…………頼むわっ。」
物凄くぎこちない動きで、雪乃のパジャマのボタンを外していく。染み出した寝汗でべっとりと張り付いたパジャマは、雪乃のシルエットを描き出していて………………剥がしていく度に、背徳感に襲われる。
ボタンが全部外れると、雪乃にバンザイしてもらってパジャマを脱がす。
「うわ、思ったよりぐっしょり…………」
「………………夢の中で『戦ってた』から………………でも、夢の中だとすごく寒かったのに汗をかくなんて、なんか不思議ね。」
そうだね、と雪乃の方を見て―――目線が釘付けになる。熱は雪乃の真っ白な肌を仄かに赤く染めて、汗で濡れた身体と相まって、そ、そそられ………………って、わ、私何考えて…………っ。
「…………望乃夏、見とれてないで早くして…………寒いから…………。」
「ご、ごめんっ………………」
そうっと背中にタオルを当てると、ピクっと雪乃の身体が震える。そのままなで下ろすように拭くと、時折雪乃が小刻みに震えて…………その度に、私の中の何かが踊る。
「………………雪乃、拭きにくいから………………これ、外していい?」
と肩紐を引っ張ると、
「や、やめっ…………」
と、恥ずかしがる雪乃。私の中の何かが囁く。
「肌着だって汗吸ってるでしょ。…………ね、さっぱりしよ?」
と、雪乃の返事を待たずに背中の留め金を外す。はらり、と落ちた鎧の下から未熟な果実が顔を出す。
「や、やめ…………」
動かせる腕で必死に覆い隠す雪乃。私はそれを横目に見ながら、雪乃のクローゼットから一式を取り出す。
絞りなおしたタオルを脇腹に当てると、さっきより大きく雪乃が震える。
「ほら、腕上げて…………じゃないと、拭けないよ?」
「そ、そこはいいからっ…………」
「腋がけっこう汗かくから、ね?」
半ば強引に脇にタオルを差し込むと、雪乃が嬌く。それでもお構い無しに拭いて、反対側にも差し込む…………これで後ろは終わり。
「…………じゃあ、前も行こうか。」
「そ、そのぐらいは自分でできるから…………」
「もののついでだし私がやるよ。」
そう言って押し切ると、前に回ってお腹のあたりを拭き始める。
「…………雪乃、お腹固いね。」
「…………ほとんど、筋肉だからっ。」
「ふぅん…………あ、腕どけて。………………なるべく、見ないようにするから。」
恐る恐る雪乃が腕をあげると、果実が小さく揺れて私を誘う。目線を逸らしつつタオルを当てると、お腹とは違った柔らかさを感じて…………雪乃の声と吐息が、私の耳をくすぐる。
「…………はい、終わったよ。」
と、タオルを水に投げ込んで、半分に切った冷えピタを手に取る。そっと雪乃の腋に貼ると、冷たさに驚いたのか雪乃が跳ねる。そして、私はキャミソールを手に取る。
「はい、またバンザイね。」
腕に沿って潜らせると、ストンと落ちて果実もお腹も覆い隠す。変えのパジャマが見当たらなかったから、前開きで薄めのを探して、雪乃の腕を袖に通す。
「…………その、ありがと。」
と、そっぽ向きながら雪乃が答える。けど私は、タオルをまた固く絞り直す。
「…………上半身は終わったから、次は下行こうか。」
「ちょっ…………」
雪乃が、沈めかけていた身体をはね起こす。そして、ズボンを必死で押さえてこっちを睨む。
「…………あんた、まさか…………」
「いや、清拭って全身拭くものでしょ…………?み、見ないようにするから…………それにこっちも取替えないと。」
「へ、変なことしたら………………絶交よっ。」
そうっとおへその下に手をかけると、2枚とも一気に膝まで引き下げる。途端に、雪乃の火照った身体の匂いが私の鼻をくすぐって…………少し、動けなくなる。
「は、早く済ませなさいよっ!!」
その声に目を覚ますと、足の付け根から丁寧に拭き清めていく。そして、次はおへその下。………………目線を逸らしてそっと拭くと、雪乃が跳ねる。手の甲に時折触れる芝に、不意に重ねたタオルの二枚下にあるものを想像して…………頭を振って振り払う。
「お、終わったよ…………」
と、膝に留めていたズボン達を引き抜いて、新しいショーツを足に潜らせる。はね起きた雪乃は、身体を動かして素早く履いてズボンを求める。………………うん、もしかしてとは思ってたけど。
「………………………………望乃夏、この落とし前は高くつくわよ………………。」
突き刺すような口調の雪乃の声に、私は身を震わせた。