ファーストフード。―望乃夏
「さて、お昼ご飯どこにしようかな………………。」
ふと呟いた言葉に、雪乃がぎょっとする。
「まさか、行き当たりばったりなの!?」
「だって、雪乃の好みとか分からなかったし…………」
「あのねぇ………………」
………………なんか、呆れられてばっかだなボク。
「………………………………ご飯。で、辛いもの。」
「………………へ?」
突然なに?
「………………好きなものと嫌いなものよ。好きなのは白米、嫌いなのは辛いものよ。………………カレーは迷うけど。」
「へぇ………………雪乃にも苦手なものあるんだ。」
「………………どういう意味よ、それ。」
「いや、雪乃って傍目から見るとパーフェクトな人だけど、苦手なものとかあるんだなぁ、って。」
「…………そりゃ私も人間だし…………。で、お昼どうするの。」
「………………そうだなぁ…………。」
と、辺りを見渡すと生憎何か食べられそうな所は一つしかなくて。
「あ、あそこにしよっか。」
「雪乃、何食べる?」
「………………。」
「………………おーい、雪乃ー?」
「…………………………よりにもよって………………なんでデートでファーストフード店なの!?」
「ゴメンナサイ。」
だってそっち方面の知識ないんだもん………………。
「………………望乃夏、罰として奢りなさい。」
「えぇ………………。」
こっそりお財布を取り出す。………………トホホ、下手したらあと10日はモヤシが主食になりそう…………。
「………………アイスとハンバーガー1つ。220円よ。」
「………………ふぇ?」
「ほら、あんたもさっさと頼みなさい。この後も詰まってるんだから。」
「あ、うん。」
………………雪乃、もしかして気を使ってくれた?
「あ、ありがと。すぐに頼んでくる。」