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雪乃の失敗。―雪乃

ベッドサイドの時計がピピピピと時を告げる。んぅ…………もう、朝………………朝練、行かないと…………。

隣で寝る望乃夏を起こさないように、そっと布団から起き上がる。

「おはよう、望乃夏。」

きっと聞こえてないけど、背中越しにおはようを言う。さてと、私も準備しないと。クローゼットからトレーニング用のジャージを取り出して、今着てるジャージに手を掛けて………………そうね、せっかくだから見えない所だけでも今からおしゃれして行こうかしら。

クローゼットの引き出しに手をかけて、一番奥に仕舞った可愛いのを取り出す。………………望乃夏、起きてないわよね? こっそり様子を伺うと、まだ寝息を立てたまま。それでも用心してクローゼットの陰で下着まで全部着替えると、昨日買っておいたメロンパンとリンゴジュース、スポドリを掴んで部屋を出る。扉が閉める直前、小さな声で「行ってきます」と奥の望乃夏に伝える。………………よし、行こう。


「………………行ってらっしゃい、雪乃。」

生憎その言葉は、扉が遮った。


一足先に集合場所に着いて朝ごはんを食べていると、

「お、美味そうなもん食ってんな。」

「…………経堂先輩も早いですね。」

「まあな。…………でも朝飯そんなんでいいのかぁ?ちゃんと食わないと」

と、私の胸を小突く。

「育たないぞ?」

「…………そっちはどうでもいいです。」

例えるなら、先輩はバレーボールを自前で二つ持ってるようなもの。私はピンポン玉二つってとこかしらね。

「おやこんな所にバレーボールが二つも。」

急にスパイクの練習がしたくなってきたわね、うずうず。

そんな私の計画は他の部員が来たことで立ち消えになった。


結果から言えば、今日の練習は散々だった。朝練は自主参加だから人数はその日次第で増減するけど、その後の練習も出てくる人が少なくて――後で聞いたら、昨日の寒さで体調を崩す人が多かったらしい――私の練習する量が、自然と増えた。お陰で汗びっしょり。…………これじゃ望乃夏に嫌われるわね。シャワー浴びないと。

練習が早めに解散になったし、まず部屋に戻って着替えを取ってこないと…………。

部屋の扉を開けると、ちょうど着替え中の望乃夏と目が合って、慌てて扉を閉める。………シンプルな薄ピンク…………って私は何を思い出してるんだ!?

その時、ドアが開いて望乃夏が出てくる。

「…………もう、ノックぐらいしてよ…………」

「…………悪かったわね、練習終わったからシャワー浴びようかと思って着替えを取りに来たの。」

あれ、着替えといえば何かを忘れてるよう…………な!?

しまった、確か…………。私はジャージの前を開けて体操服を捲りあげる。

「ちょ、雪乃、いきなり何して」

望乃夏が咄嗟に目を覆う。けど、それに構ってる余裕は無くて…………

「…………やっちゃった…………。」

私のおしゃれな下着は、練習の汗をしっかりと染み込ませていた。


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