明かされる過去................?―望乃夏
大変長らくお待たせしました
喧騒をよそに、雪乃と並んでたい焼きをかじる。................わー、カリカリしてておいしい。
「........................おいしいわね、これ。」
「そだねー................」
あー、年の瀬だけど平和だなー。
「って、私達を置いてのほほんとしないでよっ!?」
「あ、母さんおかえり。」
「はいはいただいま................じゃないわよっ!?なんで美由紀先輩の子なんかひっかけてごふっ!?」
................あ、雪乃のお母さんのチョップが母さんの頭にクリーンヒット。
「................やめてよ、人が見てるから。」
雪乃もついには呆れ顔。
「................ごめんなさい、つい................。」
「................とりあえずさ、お父さんに望乃夏のお母さんを会わせた方がいいんじゃない?」
「........................あらやだ、すっかり忘れてた。」
「だと思ったよ................。」
その声に振り向くと、雪乃のお父さんが両手にビニール袋をぶら下げて立っていた。
「あ、本山................じゃなかった、白峰先輩の旦那様、あと雪乃ちゃんのお父様でしたか。これはご挨拶もせずに失礼しました。................私は、墨森................いえ、『秋月』日奈子と申します。そこの墨森 望乃夏の母です。」
「あ、いえ................こちらこそよろしくお願いします。家内の知り合いでしたか。................それにしても、こちらの望乃夏さんはよくできたお嬢さんで。 」
................なーんて話が、私の横で飛び交う。
「す、すごい................お父さんがたじたじしてる................。」
その横には、目を見開く雪乃と、ジト目になった雪乃のお母さんがいた。
「........................全く白々しい。日奈子は昔から口が上手いし取り繕うのも得意だったもの。................お父さんったら完全に騙されちゃって。」
........................あの、雪乃のお母さん?なんか黒いものが漂ってますけど!?
そんなこんなで、母さんが雪乃のお父さんとの話を終えて戻ってきた。
「........................おかえり。」
「ただいまっ♪................ふう、久しぶりに疲れたわ。」
「その女狐っぷりは健在みたいね。」
「やだなぁみーさん。女狐なんて昔のことじゃないですか。」
「................................へぇ。私の初恋をあんなテキトーにかっさらっといて『昔のこと』、ねぇ........................」
「あ、あは、は........................やっぱまだ怒ってます?」
「怒ってるに決まってるでしょ!?........................全く、そのせいで女の子を好きになれなくなったんだから。」
「お、お母さん!?」
雪乃が青ざめてる。........................いや、私だって真っ青になりたいぐらいなんだけど!?
「........................ちなみに私を落とした時は、何人と関係してたの?」
「........................た、確か................7人?」
「................見ときなさい雪乃、これが女ったらしよ。」
びしっと母さんのことを指さす。................あのー、ボクの立場はどうなるんですかね........................?
「........................そうだ、望乃夏ちゃん。」
「は、はいっ!?」
「................................いいこと、教えてあげるわ。」
そう言うと、こっそり私の耳元で何かをつぶやく........................え、ええええええっ!?
「か、かかかかか母さんさんっ!?................そ、そんなことしてたのっ!?」
「待ってみーさんっ!?うちの娘にナニを教えたの!?」
「ふふふっ........................あなたのお部屋のことよ♪」
........................うわぁ................自分の母さんだけど、これは流石に........................
「あ、安心して。私の知ってる限り、日奈子は在学中は一人として『食べて』ないから。................................こいつはね、いざ本番となるとヘタレなのよ。口説いたはいいけど相手にグイグイいかれて泣いたのいつだったかしら?」
「そんなのバラさないでくださいっ!?」
................えーと、................もう、何が何だか........................。その時、雪乃が袖口を引っ張る。
「........................なに................?」
疲れきった顔で聞くと、
「........................とりあえず、お疲れ様。」
「........................あー、うん................。まさか、こうなるなんて、ね................」
................や、やっぱり女の子って、怖いね................................あ、私も一応女の子だった。