表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
137/152

夜が開けて。―望乃夏

今回は短すぎる。

朝日が差し込んで私達のことを優しく照らす。私は軽く寝返りを打つと、ベッドサイドのメガネをかけて身体を起こした。…........ん、まだ六時半........。

その時、私の隣で眠る雪乃が軽く寝返りを打つ。........…そうか、今は雪乃の家に居るんだった。…........雪乃の、家、に…........

私の頭の中を、昨日のことが駆け巡る。…................雪乃に乱暴に『アイサレ』て、『コワサレ』かけて、意識を無くしてベッドに沈んだことは、出来れば思い出したくない。けど、二の腕についた噛み跡が、『ワスレルナ』と警告する。これと同じ跡が、きっと私の身体の至る所に付いてるんだ。................あれは、嘘じゃなかったんだ。

私は、隣ですやすやと寝る雪乃を真上から眺める。................いつも張り詰めたオーラを纏ってる雪乃も、私の横ではただの女の子になっちゃうんだって、最初は信じられなかった。いや、今でもちょっと信じられないかも。

おでこに掛かった髪をさらりと撫でで払いのければ、私と同じ香りがする。寝る前に解いた髪は、私と同じで肩甲骨の長さ。でも。でも................私と雪乃は、違うとこだらけ。好きなものはクレープだけど、白いご飯。嫌いなものは白いアスパラだけど、辛いもの。飲み物はミルクティーだけど、レモンティー。みぃんな、雪乃と違う。けど。

(そんなんだから、雪乃が大好きなのかも。)

寝息を立てる雪乃を起こさないように、そっと布団をかけてからおでこに口付ける。................折角だしもっと寝かせてあげようっと。

パジャマ代わりにしてた昨日の服を脱ぐと、雪乃の『爪痕』がいくつも目に入ってくる。........あっ、こんなとこまで。................もう、雪乃は『甘えんぼ』なんだから................。

そっと傷跡を撫でで、ベッドの雪乃と見比べる。.......…........『愛してくれる』のは構わないんだけどさ、噛み付くのとかひっかくのは、できればやめて欲しいなぁ、という期待を込めた目線を送るけど、そんなの寝てる雪乃に伝わるわけもなく。軽く頭を降って着替えに戻る。........待って。雪乃のつけた傷ってほんとにこれだけ?恐る恐るズボンを脱いでみると........内股にも雪乃の歯型。................こ、こんなとこまで食べなくてもいいじゃないっ!?

................はぁ、もう。雪乃はどんだけ私を『欲しかった』の?小さなため息は、部屋の澄んだ空気に紛れてすぐに消える。

(…................ま、それも起きたら聞いてみればいいか。)

私は雪乃に視線を送る。................けど、一向に起きてくる気配はない。

(…........私ももう一回寝よっかな。)

もぞりと布団に潜り込むと、雪乃の寝息がさっきと変わらないテンポで聞こえてくる。私はそれを子守唄にしながら、カイロ代わりに雪乃を抱きしめた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ