2人のお風呂。―望乃夏
雪乃と連れ立って下の階に降りると、階段の下に雪乃のお母さんが待ち構えていた。
「………………どう?すっきりした?」
「………………はい。ご心配、おかけしました。」
「そう、ならよかったわ。」
………………隣で雪乃が胸を張ってるけど、満足そうなのでほっといた。
「………………そうだ。カレーができるまでお風呂に入ってきたらどう?…………2人ともぐちゃぐちゃだし、さっぱりしてきたら?」
「お、おふ………………ろ?」
チラリ、と隣にいる雪乃を見ると………………あ、赤くなってる。雪乃の手をぎゅっと握って、
「………………わかりました。それじゃあ着替え取ってきます。」
今度は私が雪乃の手を引いて、二階に戻る。…………えーと、着替えはここにつめたはず………………
「の、ののかぁ………………ほ、ほんとに、二人でお風呂入るの?」
「………………何を今更。寮でも二人で入ってるじゃん。」
「そ、それはそうだけどぉ…………」
雪乃がモジモジする。
「……………………ほら、早く雪乃も着替え持って。…………ボクの気が変わらないうちに、ね。」
「の、ののかぁ………………」
モタモタする雪乃を引きずって、お風呂場に案内させる。洗面台付きの脱衣場で手早く服を脱ぐと、雪乃の方を振り返る。
「雪乃、ほら早く。」
「の、望乃夏が先入って…………私は後でもいいから………………」
私は、逃げ腰になる雪乃の服を掴んで離さない。
「………………せっかく雪乃のお母さんが『二人で入りなさい』って言ってくれてるんだし、面倒だから二人で入っちゃお?ね?」
「の、ののかっ、顔が怖いっ!?」
少し泣きそうな雪乃をなだめすかして、お風呂場へと入る。………………へぇ、広いね。
「………………ほ、ほら、浴槽も狭いし…………」
「でもお母さんと雪乃が一緒に入れたんでしょ?なら大丈夫だよ。」
「あ、あれは小学生の時のことでっ…………っ!?」
つらつらと言い訳する雪乃に、頭からお湯をかける。それから、シャンプーを手に取って雪乃の髪の毛を乱雑にかき回す。
「わぷっ………………の、ののかっ、いきなりなにしてっ!?」
「はーい、動かないで………………流すから目を塞いでて。」
「の、ののかっ、きい…………わっ!?」
雪乃の返事も待たないままシャワーで頭を洗い流す。
「リンスは………………いいや。さぁ、次は身体洗うからね?」
と、タオルにボディーソープをつけて雪乃を洗っていく。………………もう、暴れるからやりづらいんだけど。
「の、ののかっ、身体は自分で洗うからっ!!」
「そんなこと言って逃げる気でしょ?さぁ大人しくして。」
脇の下からお腹を伝って雪乃の大事なとこにも手を伸ばすと、途端に雪乃が大人しくなる。それ幸いと丹念に洗っていって、最後にシャワーで洗い流してあげる。
「はい、綺麗になったよ。………………って、あれ?雪乃……………………?」
………………急に大人しくなったけど………………大丈夫?
「………………の、ののかぁ………………」
今まで聞いたことないような、雪乃の甘い声が私の耳を伝って脳みそをくすぐる。
「ゆ、雪乃………………どうしちゃったの?」
「…………わかんない、望乃夏に丸洗いされてる時に………………頭の中をキモチイイが走り抜けて………………ぼーっとしちゃった………………」
「………………」
サーッと、血の気が引いていく。………………ボクは今、雪乃に何をしてた?
「………………さて、随分といいようにしてくれたじゃないの。」
そんな私を尻目に、雪乃は意地の悪い笑みを浮かべる。
「………………望乃夏にも、おんなじこと、してあげないと、ね?」
取り落としたタオルを片手に雪乃が迫ってくる。………………けど、逃げる気力もなくて………………雪乃の手で、私は隅々まで『丸洗い』された。