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帰省。―雪乃

ゆきのの第三部:帰省編、入ります。

「望乃夏、準備できた?」

「うん、ばっちり。」

「ほんとに?ちゃんと換えの下着も入れた?」

「だ、大丈夫だって…………。」

………………ほんとかしら?望乃夏の言うことは信用できないのよねぇ………………。

「そ、そんなことより、約束はちゃんと守ってよね!?」

「わ、わかってるわよ………………。」

………………ああもう、あんな約束しなきゃよかった………………。私は、空を仰いだ。

テスト前にした約束、それは………………『もし望乃夏の方が私よりもテストの点が高かったら、向こうの家にいる間お客さん扱いしないで』ってこと。………………まぁ、それぐらいなら両親に頼めばそうしてくれるだろうけど………………問題は、もう一個の方。

私は、自分の左手をそっと開いた。薬指に、キラリと光るリング。………………望乃夏とのもう一つの約束、それは………………ペアリングを左手の薬指に嵌めること。つまりは………………私は、望乃夏のものってこと。別に私も構わないし、むしろ嬉しいけど……………………。

(………………なんでこのタイミングで………………。)

ちょっと大きめのリングは、私の薬指の根元まで入ってもまだブカブカしてて。落としそうでちょっと怖い。

(………………間に合わせとか、情緒無いし………………。どうせなら、私の指のサイズくらい知っときなさいよ………………)

鈍く光るリングを睨んでも、ただリングは光るだけ。それが余計に私をイラつかせる。

「………………雪乃?何怖い顔してるの?」

「そ、そんなの………………望乃夏のせいよ………………どうせなら、私専用に誂えて欲しかったわ。」

「ごめんごめん。急な事だったから用意できなくて。……………………でも、いつかは本物のエンゲージリングをあげるから………………待ってて、ね。」

「の、ののかっ!?」

ついポロッと漏れた本音は、本物になった。

「………………い、いい、の?だって女の子同士だと結婚できないよ!?」

「………………構わない。ボクは雪乃のお嫁さんになりたい。」

「の、ののかぁ………………。」

………………あぅぅ、そんなこと言われたら………………余計にこの指輪、外せないじゃない………………バカ。

「………………と、とにかく、行くわよ。向こうでパ………………お父さん待ってるから。」

「………………わかりました、旦那様♪」

「の、ののかっ………………それ、人前ではやらないでよね?」

「うん、わかってますよ旦那様♪」

「………………ほんとでしょうね?」

………………なんか帰る前から疲れたわ………………。


電車に揺られて40分ぐらいで、私の家の最寄り駅に着く。ゴロゴロとカートを転がしながら駅を出ると、お父さんはすぐに見つかった。

「おかえり、雪乃。」

「………………ただいま。」

「さぁ、荷物積もうか。………………ところで、その子がこの前話してた子?」

「そうよ………………望乃夏、これが私のお父さんよ。」

「は、初めまして………………ゆき…………白峰さんの友達させていただいてます、墨森 望乃夏と申します。」

………………望乃夏、ガチガチに緊張しすぎて色々と変よ。

「これはご丁寧にどうも。雪乃の父です。………………あ、形式張らなくてもいいよ。雪乃の友達ならうちにとってもお客さんですし。」

「きょ、恐縮です………………。」

「もう、望乃夏。そんなに固くならないで。」

「だ、だって………………」

「まぁまぁ、積もる話もあるでしょうけど、まずは家までお連れしますよ。雪乃もそれでいいだろ?」

「そうね、お願い。」

私達の荷物をトランクに積むと、車は家へと走り出す。

(………………なんか、雪乃のお父さんってカッコいいね。)

(でしょ?………………でも、何のお仕事してるのか教えてくれないの。)

「………………雪乃、帰ったらお友達を部屋に案内してあげなさい。」

「………………わ、私の部屋に?」

「それ以外のどこにご案内するつもりだい?いいじゃないか、かわいい部屋だし。」

「そ、それは………………その…………」

………………あ、あの部屋に望乃夏を通すの?

「ねぇねぇ、雪乃の部屋ってどんなの?」

「そ、そんなに面白いものでもないわよ………………って、お父さんはニヤニヤしないでっ!?」

………………ああ、なんか気が重いわ………………

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