二人の約束 ひとつめ。―望乃夏
今回尾篭で生々しい話があります。
うう………………んっ、………………あれ、
ここは……………。
「望乃夏っ!!」
あれ…………白峰…………さん。
「あれ………………部屋?」
いつの間に戻ってきたんだろ…………
「望乃夏!!…………よかった。」
「しら………………雪乃?どうしたの、それに、それ私のトレ」
「バカっ!!」
いきなり左手で殴られて、私は倒れ込む。その上、胸倉を掴まれて…………顔を、埋められる。
「………………望乃夏が、このまま死んじゃうかと思って心配したじゃない。………………バカ。」
「………………雪乃………………。」
バカっ、バカっ、と何度も繰り返す雪乃の頭を、しっかりと腕で包み込む。
「…………ごめん、雪乃。」
しばらくの間そっと頭を撫で続けると、雪乃も落ち着いてきて。
「…………そういえばこれ借りてたわね、返すわ。」
と、私のトレーナーを脱ぎ始める。
「じゃ、じゃあボクもこれ返すね。」
雪乃を抱きとめた時に気づいたけど、私は今下着を付けてない。いや付けてても上は特に変わらないけど、それでもあるのとないのではある方がいい。
雪乃はもうジャージに着替えて、脱いだ私の服と下着――こっちはお風呂から持って帰ってきた、正真正銘私の――を投げてよこす。
「…………私のはそこに置いといて、後で洗濯するわ。」
「…………ごめん雪乃。それにしても…………雪乃はお風呂上がりいつもそのジャージなのに、今日はパジャマだったんだね。」
「なっ…………」
雪乃が一瞬で真っ赤になる。
「……………察しなさいよバカ望乃夏。そのパジャマも今日初めて着るつもりだったのに………………。」
「…………ごめん。」
…………なんか私、謝ってばっかり。
「…………そうね、望乃夏には罰をうけてもらおうかしら。」
罰………………?ま、またあの殺人ビンタを…………!?
「罰として、これから一人でお風呂入るの禁止。また倒れられたら困るし、それに………………」
その先を何て言ったのかは聞こえなかったけど、どこか嬉しそうな雪乃を見てつい頷いた。
「………………で、どうしてお風呂で倒れたのか自分でわかる?」
「うん…………多分、長風呂のせいだと思う。普段からちょっと貧血だし、最近シャワーだけで済ませてたし、普段もそんなに長く入らないから………………。それに、この前『終わった』ばっかりなのもあるかも。」
「………………なら早く言いなさいよ。」
「………………言えるわけないじゃん。…………初めて、二人で一緒にお風呂入るのに………………。」
「それで倒れられるとこっちも困るのよ………………。あなたの身体を拭いて、服着せるの大変だったんだから。」
「…………そこはほんとにごめん。」
「ほんとに感謝してるの?」
ずいっと、顔を近づけられる。
「う、うん、感謝してるって。」
「………………ならいいわ。それにしても………………今日は色んなことがあったわね。」
「いやまだ今日終わってないから。まだ20時前だし。」
「…………うるさいわね、風情がない。」
「………………そう言われてもなぁ………」
そんなこんなで、私達の初めてのお風呂は散々なことになったのだった。
雪乃:朝ごはんについても管理してあげようかしら?
望乃夏:それは勘弁して…………