目を覚ます。―雪乃
「望乃夏っ!?」
急に立ち上がった望乃夏が、いきなりひっくり返った。慌てて受け止めたからお風呂に沈むようなことは無かったけど、呼びかけても返事しない。
(保健室…………いや、その前に服を着させないと。)
望乃夏の腕を私の肩にかけて、担ぐようにして脱衣場まで戻る。早く…………なんとかしないと。
望乃夏の腕から鍵を外すと、雑に鍵を突っ込んで回す。脱衣カゴを無造作に取り出して望乃夏に下着を着せようとするけど…………濡れた身体に張り付いて、なかなか着せられない。
(どうしよう…………はやく、しないと。)
もう考えている余裕は私にはなかった。私の鍵で私の脱衣カゴを取り出して、私のパジャマを着せていく。私のなら前開きだから、トレーナーの望乃夏のよりは着せるのが楽だし。問題は下だけど…………これは、私のスカートを履かせてどうにかした。
「待ってて、望乃夏。もうすぐだから。」
私も手早く服を――パジャマは望乃夏に着せちゃったので、望乃夏のを借りた――着て、望乃夏を担いで歩き出す。
早く、早く…………と急かす心は、いつの間にか私を私達の部屋へと連れていった。私の分の鍵でドアを開けると、少し迷った後…………ドアから近い私のベッドに寝かせる。
私の予想が正しいなら…………と、水道でタオルを冷やす。どっちにしようかしら…………とちょっと迷った末に、上を脱がせて脇の下にタオルを挟む。もう一本用意しようと望乃夏の前を合わせた時、小さく唸って望乃夏が目を開ける。
「………………あれ、部屋?」
「望乃夏!!…………よかった…………。」
「…………しら…………雪乃?どうしたの、それにそれ、私のトレ」
「バカッ」
思わず、望乃夏のことを殴っていた。そして襟を掴んで詰め寄ると、
「………………望乃夏が、このまま死んじゃうかと思って心配したしゃない。………………バカ。」
胸に顔を埋めて、泣いていた。
「………………雪乃………………。」
よかった、望乃夏………………。