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パラドックスの有効的な使い方  作者: KITA
一章 冬の終わり
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一章 14 今日は今日あったことを整理する今日

詳しく訊いてみると、ニノランの能力は「願いを間接的に実現する能力」らしい。願いを実現、と言ってもそんなに大それたものではないらしいが。あくまで「間接的な実現」であり、さっき見せてくれたように、火を点けたいと願ったらマッチが出てくる。まぁ、大体「後は自分でやれ」的な実現が多いと言う。さっきも言ったが随分人任せな能力だ。

しかしニノランはこの能力を誇りに思っているらしい。まぁ能力を持っているだけでも誇る価値はあるだろう。だが、今、俺も合わせて五人の能力者がいる。この後また出てくる可能性も否めない。もしそれが「実現」されてしまったら、その誇りが意味をなくしてしまう。朏がホイホイ能力者を連れてこないのを願おう。


「あ〜、次は僕だよねぇ〜。」


しかし、出会った時から感じていたがキーの服装は奇抜である。誠海高校の制服の上にどてらを着ていて、足には下駄がカタカタ音を鳴らしている。そんな純日本人みたいな服を羽織っているのだが、キーは灰色がかった髪をしていて、しかもよく見ると目も灰色っぽい。髪を染めたりカラコンを入れたりしているのだろうか。あんな飄々としている癖にそんなチャラい事をしていると思うとなんだか面白い。


「僕はねぇ、「複製コピーを作る能力」を持ってるんだよ〜。皆みたいにまずは実演してみせよう〜。あっははー☆」


「あっははー☆」と言うのは口癖なのだろうか。よくそう笑っているが。☆が付いているのは俺の勝手なイメージなのだが、どこか目を悪くしたのかキーがそう笑う時は実際に星が頭から出ているように見える。。イメージとは恐ろしいものだ。

しかし、コピーを作るとは、なんだか凄そうな能力だ。しかも実用性がありそうだ、俺やニノランとは大違い。

と、突然キーは俺に触ってきた。一瞬「この人痴漢です!」と騒いでやろうと思ったが、肩を触っただけだ。許してやろう。


「お、おいなんだよ、急に。」


「あ〜、ごめんね〜。触らないと能力を実演できないんだよぉ〜。」


キーはそう俺に謝って、また皆に向き直った。


「今、僕は左手でキョウ君をさぁわりまっしたー!イェー!」


とキーはふざける。それはいいから早く能力を見せて欲しい。俺を触った手を見せびらかしてもどうしようもないだろ。

朏はキーに応えるように「イェー!」と叫ぶ。叫ばなくていい。


「でねでね〜、それでだね〜。この左手、なぁんの仕掛けもありませんよぉ〜、ほら、ないでしょう〜?」


とキーは左手を皆に見せる。なぜだか俺が恥ずかしくなってきたぞ。自意識過剰な気がするが、それでも俺を触った手だ。皆に見せるのはなんだか気持ちが悪い。いや、俺が一方的にそう思っているだけで、実際キーは変なつもりはないだろうが。


「何もないですね。普通の左手です。」


「うん、普通だよ。」


「普通の左手という言葉を具現化したような仕上がり。」


要するに普通だ。普通が一番。

それを聞くとキーは少し顔をしかめた。


「そんなに普通普通言われるとちょっと嫌かなぁ〜。まぁそれはいいやぁ〜。でねでね〜、それでだね〜、よぉく見ててよ〜。」


確かに俺がキーの立場でも少し苛つくだろう。普通は一番だが何度も普通だと言われると嫌なものだ。特に最後の朏の発言。あれ要らない。

キーは俺たちを一瞥してから、左手人差し指を自分の口に当てた。所謂「しーっ」のポーズである。

すると、キーの少し前、誰も存在しない少し開けたところに。


自分。そう、それは自分であった。


複製を作る、と言うからなんの複製を作るのかなあと思っていたらまさか俺の複製だとは思わなかった。

複製を作る、と言う能力からある程度は察していたが、実にリアルである。鏡に映った自分を見ているような。


「お兄ちゃん!?なんでそこに!」


いろは様が驚愕する。お兄ちゃんはそこには居ないのだが、まぁいい。そう言う勘違いも仕方がないだろう、この完成度だと。

髪の一本一本、毛穴の一つ一つ、微に入り細に渡るものである。むしろ自分が複製なんじゃないかとも思ってしまう。しかし、しかしだ。

その俺の複製は全く動かなかった。喋らないし、ただそこに立っているだけであった。


「僕の能力は〜、まぁこんなもんかなぁ〜。期待を裏切るようだけど〜、見てるように僕の作る複製は動かないし何もできないんだよぉ〜。おまけに。」


と言ってキーは複製を、ツン、と突いた。すると、複製はふわっと霧のようになって消えてしまった。ファンタスティック。


「触ったら消えちゃう。しかも触らなくても三分経ったら消えちゃうんだよぉ〜。不便でしょ〜。」


なんと。さっきニノランに「不便」だと言ったくせに自分の能力も不便とはこれいかに。

しかし不便かも知れないが凄い能力だな。複製は消えやすいものの、使い道がありそうだ。朏のように分かりにくい能力でもない、単純で分かりやすい。理想的だ。


「じゃあこれでもう説明は終わりかな。じゃあ解散しよう。」


朏はそう突然解散を命令した。


「おい、議論はどうなったんだ。今日はよく分からないことが多すぎる。それを整理してから解散にしよう。」


と俺がそれに反発すると当たり前な顔で朏が言う。


「明日また集まるでしょ。その時にしようよ。「今日は今日あったことを整理する今日」、にしよう。」


今日は今日あったことを整理する今日、か。分かりにくいな。まぁ確かにそれもいいかも知れない。いろは様の説明の時など、朏とニノランは説明の意味をまるっきり分かっていなかっただろう。今日は質問とかはなし、ただ説明を押し付けられる日にして、家で各自その説明の意味を噛み締めればいい。


「まぁ、そうだな。今日は今日あったことを整理する今日、にするか。」


と俺が言うと、キーやニノランも首肯した。いろは様は多分俺に合わせるだろうし、満場一致だ。朏は皆が頷くのを見て、こう言う。


「じゃあ、今日は全然よく分からなかった事ばかりだったけど、とにかく解散!また明日!」

とりあえず一章は終わりです。

自分の文章力の問題もありますがまだまだ説明がちゃんと伝わってないと思います。

まぁちょいちょい詳しい説明入れながらやってきます

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