魔力を吸収する力
「そう…… 悟があなたの魔力を取り入れて霊と会話したの…… それは危険な兆候ね。魔力を持たずに生まれたあの子は、他人からの魔力を吸収する能力に特化しているの。その力は無尽蔵よ! 絶対に本人に知られてはいけない。分かっているわね?」
「は、はい。分かっていますお母様……」
私は今夜も悟さんのお母様の寝室で、1日の報告をしていた。
サキュバスであるお母様は、紫色の薄々のネグリジェから面積が極端に小さな下着が透けて見えている。この人、女の私を誘惑しようとしているのかしら……
ううん、それは絶対にない…… この人はどうしたら悟さんが自分に振り向いてくれるかしか考えていないない。
それで振り向いてくれたらどうするつもりなの? ま、まさか禁断の扉をあけてしまうつもり? だめだめ、それはダメ。
悟さんは私がちゃんと更正させるんだから!
「最近、悟は良く笑うようになったのよ。それに関してはあなたに感謝しているの。きっと同好会の活動が楽しいのね。悟を誘ってくれてありがとう!」
「えっ!? あっ、はいっ! どういたしまして」
まさかお母様からそんな言葉をいただけるとは思っていなかった私は動揺した。
「じゃあじゃあ、私もあなたに悩みを相談してみようかしら…… いい?」
「も、もちろんです! お悩みをズバッと解決する占いの館へようこそ! お母様のお悩みはなんですか?」
私はベッドの上に座り直して、手を広げて営業スマイルになった。
お母様は、お祈りする少女のように手を結んだ。
「主人は帰ってきてくれず、家には息子に手を出しちゃいけないって邪魔をする女が居候して…… 私は悶々とした夜をどう解消すればいいのかしら……」
「えっ!? 悶々……? 夜……?」
私は動揺して耳まで赤くなってしまう。
お母様は濃艶な笑みを浮かべ、追撃する。
「あなたにもそういう夜があるでしょう? でもね……」
ニタァとした悪魔の表情で身を乗り出したお母様は、私の耳元でささやく。
「私に我慢を強いているあなたが悟に手を出したら…… 殺すから……」
そう言って、背を向けて鏡台にイスを戻し、髪の手入れを始めた。無防備な後ろ姿をさらすことで、私なんか敵ではないということを知らしめているのだろうか…… やはりこの人は本物の悪魔なんだ。人間の私には太刀打ちできない圧倒的な力をもっている。
私は目を見開いたまま、しばらくその場から動くことができなかった。
ここまでお読みいただきありがとうございました。主人公のイケメンなのに本人はそれを知らないという設定をもっと活用したかったのですが、展開があらぬ方向へ向かってしまいました。
ひとまずこれにて完結とさせていただきます。
いつかまた、この世界観を膨らませて物語を作ってみようと思っています。




