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第18話-7
「よく来たわね、政則さん」
突然エレナがそう言った。
政則は小林先生の名前だ。
「えっ?」
当然のように小林先生は聞き返す。
「政則さんは私が死んだ後も何度も訪ねてきてくれましたね。お祖母ちゃんうれしかったのよ、ありがとうね」
困惑している小林先生に僕は説明する。
「先生、栗沢さんは先生のお祖母さんの言葉を伝えています」
そう、お婆さんはエレナの耳元で囁いている。
霊場恐山のいたこによる口寄せと同じことをしているのだった。
「えっ? そうなのか…… 残念だけど僕には見えないんだよ、お祖母ちゃん」
お婆さんがニコリと笑うと同時にエレナも笑顔になる。
お婆さんとエレナはしっかりシンクロしている。
小林先生は僕に確認を求めるような視線を送ってきた。
まだ疑心暗鬼なのだろう。
「先生のお祖母さんは栗沢さんの隣にいらっしゃいます。信じてあげてください」
僕がそう言うと、先生の表情が緩んだ。
「じゃあ、部屋の中でお話ししましょうか?」
お婆さんとエレナは部屋に僕らを案内してくれた。




