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落ちこぼれ魔導師が学園で何かを始めるようです!  作者: とら猫の尻尾
第2章 落ちこぼれ魔導師、同好会をつくる
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第16話-5

「カモがネギ背負ってきたわー!」

 エレナが高らかに笑った。すっかり悪役が板についてきたな。


 角田修平が戻ってきたときには『占い対決』の条件に折り合いが付いて佐倉葵は立ち去った後だった。

「ああ、なぜこんなに大ごとになってしまったんだー」

 修平は頭を抱えてその場に崩れ落ちた。

「すまん、僕がついていながら……」

「悟さんが謝ることなんて何一つないわよ。商業科の部員をゲットするチャンス到来! 修平君グッジョブ!」

 と床に手をついて落ち込む修平に向かって親指を立てるポーズをとった。

「おまえ既に勝った気でいるようだけと、勝算はあるのか? 相手は占い師の家元の一人娘だぞ? 元陰陽師の家系なんだぞ?」

「たしかに相手は手強いわ。占いに関しては向こうはプロだもの。私の占いは養成学校で学んだタロット占いと占星学を元に独自のアレンジを加えたものだけれど、言ってる事の半分は相手の反応を見てアレンジを加えているの。それを見破られたら勝ち目はないかもね」

「占いの半分はウソ言っているということか?」

「私は嘘なんかつかないわ。悟さんは私の占いを疑っているの?」

 少し寂しそうに上目遣いで言われてしまった……

 エレナの言う『アレンジを加える』という言葉を誤解していたかも知れない。


 僕はエレナにどう謝ろうかと思案していると、修平が立ち上がり、

「俺にとってはどちらが勝っても負けても悲惨なことに……」

 とつぶやきながら、出て行った。

 彼の背中はまさに『哀愁漂う男の背中』であった。


 エレナが勝てば修平の幼馴染みの彼女は同好会の仲間に入る。一方、幼馴染みの彼女が勝てば修平は彼女の元に帰る…… 修平には悪いけれど、これは何としてもエレナに勝ってもらわないといけない。


「……明日は勝とうな! 頑張ろう!」

「はいっ! 絶対に勝ちます。なにしろ私には秘策があるの。明日が楽しみだわー!」


 そう、決戦は明日の放課後と決まった。場所は双方にとって中立の場所を選定した。商業科の教室は佐倉葵がクラスメートを占う際のホームグラント。対してエレナのホームグランドはここ『占いの館』である。結果として1年3組の教室が選ばれた。

 対戦方法は双方が交互に相手の事を占っていく。双方のクラスメートに声をかけてギャラリーとして見てもらう。彼ら彼女らの反応と、本人たちの相互判断によって、どちらかが負けを認めるまで続けられるというものである。


 ――決戦当日の放課後がやってきた。


 1年3組の教室の真ん中に、机を向かい合わせにして座るエレナと佐倉葵。

 エレナはいつものムラサキ色のベールを被っている。机の上には水晶玉とタロットカードが置かれている。

 対する佐倉葵は、藍色のベールを被り、さらに口元にも同系色ベールを付けている。こちらも水晶玉とタロットカードが置かれている。

 わざとエレナに合わせてきた? やはりかなり手強いぞ、この相手…… 


 佐倉葵の背後には角田修平がおろおろした様子で立っている。彼にとってはどちらが勝とうが負けようが不幸な運命が待っている。気の毒に…… 今度何か奢ってやろう。


 ギャラリーが続々と集まってきている。2年や3年の知らない先輩たちまで来ている。占い対決の噂は校内に知れ渡ってしまったようだ。もう後戻りはできない雰囲気だな。


 心配になってエレナの表情を見ようとしたとき、エレナが澄まし顔でスッと立ち上がり、まるで踊っているかのような感じでリズミカルに窓の外に手を伸ばし、『パチン』と指を鳴らした。


「えーっ!」


 僕は思わず素っ頓狂な声を上げてしまった。なぜならエレナの手にムラサキ色のぬいぐるみが『パサパサ……』と飛んできて留まったからだ。

 ギャラリー達は『おおーっ』と感嘆の声をあげていたから、おそらくそれが手品だと思ったらしい。


 バット…… お前、何をしている?


 エレナは得意顔でバットを右肩に乗せ、同化した。

 チートじゃん! それ秘策と言えるのか? エレナさん……

 エレナは得意顔で戻ってきて、抜け殻になったコウモリのぬいぐるみを僕に渡す。


「使い魔の力を借りるのってズルくないのか?」

 僕はエレナに耳打ちするが、『シー』と口元に指を立ててウインクをしてきた。

 小悪魔要素満載のエレナは何食わぬ顔で席に着き、勝負の準備は整った。

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