第14話 『占いの館』はじめました
バットとともに朝を迎えた僕は、1階へ下りていく。
エレナと母さんがダイニングキッチンにいた。
「おはよう」
僕は努めて普通に声をかけたつもりだが、
「あっ、悟さん…… お、おはようございます」
妙にぎこちない挨拶が返ってきた。
「あらあら2人とも今日は自分で起きてこれられましたねー、さあ朝ご飯を食べましょ!」
母も同じくぎこちない。
エレナと母は夕べの出来事を僕に見られて動揺しているのだろう。
もちろん、僕も動揺している。
だって、あんな現場初めて見たから……
左から『母』→『僕』→『エレナ』の順に座っているのだが――
「エレナ、よかったら僕と場所変わるか?」
『ブーッ』
エレナと母さんは同時に紅茶を口から吹き出した。
2人は慌ててテーブルを布巾で拭いている。
見事な連係プレーだ。
やはり僕の知らない間に2人の仲は急接近していたようだ。
このままではいけないと思い、僕は勇気を出して言う。
「恋愛の対象は人それぞれだから。それは十分に理解しているつもりだ。ただ、慣れるまでには少し時間がほしい」
「わ、私の恋愛対象は悟さんだけですからぁー!」
「お母さんも、かっくんだけよぉー!」
「お母様、それはいろいろと問題がありますので!」
「なによ! 愛の形は人それぞれと言ったかっんくの優しさを見習いなさいよ!」
「お母様にはお父様がいらっしゃいますよね!」
「浮気性の主人なんてもう、あなたにあ・げ・る!」
「い・り・ま・せ・ん! あっ、でも…… 悟さんと親子セットでなら」
「ウキィー、このいやらしい泥棒猫がぁー!」
「あなたに言われる筋合いはありません、このいやらしい年増悪魔ぁー!」
本日の第1ラウンドが始まった。
父さん、そろそろ戻ってこないと家に居場所がなくなるよ……




