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スケベ機関(3)

「スケベ機関の“S”だ!!」


 雷蔵は全身に雷に打たれたような衝撃を受けた。


 彼は常々思う。

 自分の人生を悔いなく生きたい。そう後悔のない人生を――――もし戦場で死ぬ時が来たら精一杯生きたと誇れるだろうか? いや、男子たる者、女体を見ずして死ねるはずが無い! 


 雷蔵はすぐさま嵐に対し普段は全く使う機会の無い敬礼をした。


「スケベ隊長殿!」


 これを聞いた嵐はその気になり同じく敬礼をして答えた。


「うむ。スケベ二等兵、楽にしたまえ」


 二人は同時に敬礼を止める、嵐は話しを続けた。


「本作戦は帝国軍人の名に恥じないハレンチ決戦である。玉砕覚悟で望みたまえ!」


「はっ! 我が魂はスケベ隊長殿と共にあります。」


 二人は大浴場から揚がり木製の床に全裸のまま体を伏せて壁の先にあるだろう女湯目指して静かにほふく前進をした。

 雷蔵は途中で異変に気付き小声で嵐に話しかけた。


「スケベ隊長殿!」


「どうした? スケベ二等兵」


「その、自分の魚雷がこすれて……発射体制になりました」


「馬鹿者! それでも貴様、帝国軍人か? 中野学校で得とくした禅の境地を思い出せ」


 雷蔵は静かに目をつむり深呼吸をして気持ちの高ぶりを抑えた。


「隊長殿! 作戦実行可能です!」


「うむ。行くぞ、スケベ二等兵!」


「はっ!」


 二人は更に前進をして遂に男湯女湯を隔てる壁に辿りついた。

 壁の天井は顔を覗かせる事が出来る隙間が有り二人はその隙間から女湯を覗くことを計画していた。

 二人の少年は壁を難無くよじ登り隙間まで辿り付いた。

 軍人としての日ごろの訓練がこの場で活かされる。


 この先にある神秘の世界を彼らは遂に見ることが出来る。

 胸の高鳴りは最高潮に達する。


「せーの」で呼吸を合わせ隙間に顔を飛びこませた。


 そして――――。


 目の前が暗闇に包まれた。


 この時代、日本は敵国の空襲を恐れて全ての家庭に消灯時間を設けて決まった時間が来たら明かりを消すことを義務付けていた。

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