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DGK  作者: アキラ
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第7話

珠理と麗香、加奈がちょうど合流していた頃、

校舎の玄関ホールで2人の男が対峙していた。

「はぁ、やれやれ。着いた瞬間に遭遇しちまうとはなぁ。まったくツイテねぇ」

男の名前は松原天理。珠理と麗香と共にこの学園に派遣された

5人のうちの一人であり、元この学園のNo1だった。

つまりは一ノ瀬の先代であったということで、

一ノ瀬にその席を譲ってからの1年間は彼のサポートをしており、

一ノ瀬の能力を覚醒させたのも彼だった。

そんな彼の能力は絶大なもので、彼が指定した空間を閉鎖させることが出来、

その空間を自由に収縮することのできるもので、

普通の敵であれば間違いなく瞬殺の能力でもあった。

だから、この時の彼はいつもと同じように今、

対峙している敵の半径2メートルの空間を閉鎖させて、

今この瞬間から閉じようとしていた。

だからこそさっきの発言は余裕からくるところが大きかった。


だが、しかし・・・


「悪いけど、もう君は僕の前から消えて」

その言葉が天理がこの人生で聞いた最後の言葉となった。



天理が目の前に存在する男の空間を閉じる言葉を唱えたその瞬間だった。

なぜか天理が今まで見ていた風景が変わり、

自分の視線上には先ほどまで対面していた男が

校舎の奥へ向かって歩き出していたのだ。

一瞬、何が起きたのかが分からなかった天理だったが、

自分の息が苦しくなっていったことから徐々にある結論が導き出された。


俺のいた場所とアイツのいた場所が入れ替わっている。と。


そしてそのことに気付いた瞬間、天理の顔は青ざめていき、焦りが全身を伝った。

なぜなら、自分が今いるこの空間はさっき自分が閉じる言葉を告げ、

閉じられる最中の空間であり、このままいけば、

自分自身の能力によって、この空間は消される。

そうなった場合の顛末は天理が今まで倒してきた敵から分かっていた。

まず息が出来なくなり、苦しんでいる間に上下左右から

空間が自分を圧迫していき、

まるでプレスでつぶされるかのように肉体をどんどん薄くされていき、

限界まで来た途端ふっと、この世界に最初から

何も存在していなかったというように消滅するのだ。

だが、この能力を停止させる術は確かにあった。止める言葉を呟けばいい。


たったそれだけのことだった・・・。



「・・・・・・・・・。」

しかし、目の前を普通に歩く男はそれを許すわけがなかった。

何をされたのかは分からなかったが、

天理の口から言葉が放たれることはなかった。

そうこうしている間にも、天理は息が出来なくなり、

上下左右から圧力がかかり、絶望の顔を滲ませている。

もちろん声だけが消失しているだけで、痛覚は存在する。

天理は窒息の苦しみと共に圧迫の苦しみも味わっていた。

もしも今、彼の声が存在するならば、

断末魔の叫びが学校中に響き渡ることだろう。

だが、声をなくした天理は無音で叫び声をあげ、

かつて自分が見てきたように助けをこれまた無音で上げている。


だが、その願いは空しく散っていた。

あまりの痛みと息のできなさに気を失い、

彼の下部には漏らしたのであろう汚物が堆積していき、

それからものの10秒ほどで、彼がいたはずの空間は世界から消された。



男は天理が消滅した瞬間、彼がいた場所を振り返った。

「ふ~ん、人間って呆気ないね。

こんなものを取られたくらいで何もできなくなるなんて」

彼は手に持っていたものを地面に捨てた。

それは天理の喉だった。




「あ~!!あなた本当に面白いわね~!!

私、あなたみたいな獲物、だいっすきなの~!!」

「は!そりゃどうも。だがな。お前のいるその場所、もう破壊したぞ」

その言葉が発された途端、珠理と対峙していた女は

崩れ去った地面から下へ落ちていった。

「はぁはぁ、やっぱりいてぇな。たく俺も丸くなっちまったもんだな。

あんな女捨てればよかったものを」


珠理と女の対決が始まって10分が経とうとしていた。

珠理は健闘した方だろう。片腕に大きなダメージを受けてなお、

女を倒そうと何重もの策を講じ、今落とすことに成功したのだから。


しかし、それで倒せるほど、女は甘くはなかった。

「ふふふ、いい策だったわね!!だけど、もうあなたには飽きちゃったわ!

だからね~!!


もう死・ん・で?」


その言葉と共に這い上がってきた彼女は、彼の目の前で手をかざすと、

その手の奥からゴーレムが出てこようとした。

(あ~あ、これで俺の人生も終わりか。麗香とあの女、きっちり遠くへ行けただろうか)

「それじゃ、バイバ~イ!」


女の言葉と共にゴーレムが珠理の体に攻撃を仕掛けようとした。



その瞬間、閃光が走った。


珠理の目の前から突然女が消え、彼の後ろから2つの足音が聞こえた。

「ふぅ。間に合ってよかった。」

「もう迅さん、早すぎますよ!!俺、何度置いて行かれたことか分かりませんよ?」

「ま、そこは許してくれ。緊急事態だからな」



珠理の目の前に現れた二人、そうそれは先ほどまで反対側にいた迅と卓だったのだ。


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