旧Link.12
俺たちは今、北門に向けて歩いているのだが……
「ちっ!美少女2人と一緒とか……もげろ」
「ブリザードって氷精戦車のあのブリザードだろ?まさかあんなロリコンだったとか」
「まったくだぜ。いくら小さいとはいえ、美少女だからなぁ」
「はぁ?小さい子だからいいんだろ?」
「「「えっ!?」」」
「えっ!?」
「みんなが考えている間に幼女は頂いていきますね」
「「「まてや変態ども!」」」
少し歩くたびに周囲がこんな状況に……
「ふぶ、ブリザード」
「……あ?あぁ」
「ごめんな、俺がこんな幼女になっちゃって。俺がこんなことにならなければ、おまえが変態扱いされなかったんだよな」
「落ち着け、おまえの方もダメージあるんだから」
「というか正直私がいるだけでも兄さんは変態扱いでしょうからね」
「……スノー、おまえ容赦ないな」
「だいたいお姉ちゃんはリアルでもそんな感じなんだから、あまり変わらないでしょ?」
「ザクッ!」
「それに私より注目されているし、可愛さならバッチリじゃないの?」
「グフッ!」
「それからお姉ちゃんって言いやすいから、今後もお姉ちゃんって呼ぶね。私もお姉ちゃん欲しかったし」
「ドムッ!」
「す、スノーさん、やめて差し上げろ。俺ですら憐れむレベルだ」
「むぅー」
初雪ちゃん、おこなの?
「だって、絡まれた時にお姉ちゃん、庇ってくれないんだもん」
そ、そんなの無理だよぅ。
「はぁ、そんな無茶ぶりやめてやれよ」
「わかっているんだけどね」
……わかってるんだ。
「そんなことより、ほら、北門に着いたぞ」
ショックを受けているうちに着いたようだ。
「兄さん、あそこから早く離れるのはいいですが、そろそろ武器渡してください」
「そうだったな」
そういうと吹雪は、いくつかの装備を出してくる。
木でできた西洋の剣、鉛筆ほどの大きさの杖、石でできた短剣が2本。
「えっとだな、スノーには木の片手剣と木の杖。ユクロスには石の短剣を2本買ってきたぞ」
「ありがとう、兄さん」
「ありがと。っていうか2本?1本で十分なんじゃないの?」
「あぁ、このゲームには、武器の耐久があるからな。いざというときの為の予備か、両手に持って手数を増やすかはおまえ次第だよ」
「なるほどな。いくらだ?」
「スノーのやつは、木の片手剣と木の杖が10Lずつ、おまえのは石の短剣2本で60Lだ」
「……なぜ俺のは石製で高いやつなんだ?」
「VRMMO初心者なんだから、武器はいいやつにしておけよ?まぁ、勝手に買ったのは俺だし、半分出してやるから」
「おぅ。ありがとな」
えっと、所持Lは500Lだから……ん?
「なぁ、どうやってお金出して渡すんだ?」
「それは、お金のところをタッチすれば出したい金額が出るから、出してそのまま渡せばいい。これはNPC相手でも同じだからな」
「そうなのか。じゃあタッチっと」
「というかさっきの店が混んでたのも、人数だけじゃなくて、払い方を知らないやつが多かったのもあるんだけどな」
「それであんなに混んでたのか。っと、半額で30Lだったな。本当にありがとな」
「かまへんかまへん。正直、初期に大量の金があっても、まだギルド機能も付いてない以上、戦闘職には不要だからな」
そういえば、5000Lあるんだっけ?初期の装備が10Lとか30Lじゃしばらくはもてあましそうだな。
「じゃあ、さっそく出発するか?」
「あ、ちょっとまて。まずは手に入れた武器を装備するんだ」
「え、ベルトが付いているし、腰につければいいんじゃないのか?」
「そこまではあっているんだが、そこからもうひと手間あるんだ」
というと吹雪は自分の武器であろう、木の片手剣と石の盾を取りだした。
「お金あるんだから、剣も石でよかったんじゃないか?」
「それはさすがにスノーに悪いだろ。周りが石の装備の中で1人木の装備とか」
「それは……」
「そんなこと、気にしなくてよかったのに」
「まぁ、とにかく装備についてだが、まずは身につける」
そういうと、剣を腰のベルトに、盾を背中に背負うようにして身につける。
それを見て、初雪ちゃんも剣を背中に、杖は入れる袋が付いていたのでベルトにつけておくようだ。
そこで俺も短剣を腰のベルトの両側に差し込んだ。
「身につけたら、メニューを開いて装備をタッチ。そこにある確認をタッチすると、今身につけている武器や防具が出ているから、それぞれタッチして装備するを選ぶ。これで装備完了だ」
言われたとおりにすると、装備の画面が防具だけだったのに、短剣が追加されていた。
装備
石の短剣 ATK+8・石でできた一般的な短剣。 耐久:200
石の短剣 ATK+8・石でできた一般的な短剣。 耐久:200
冒険者の服(女) VIT+10・初期装備の服。初期ながらそれなりの能力はある。 耐久:500
「できたか?」
「……出来たけど、いちいち面倒くさいな」
「ちゃんと装備していないと、使ったときにジョブやスキルのボーナスが受けられなかったり、耐久の減りがすごかったりするから、面倒くさいって放置しないように気を付けとけよ」
それはこわいな。
聞き耳を立てていて、装備の重要さがわかったのか、周りをうろついていた人たちが、いそいそと装備を付け始めている。
「それじゃあ、今度こそ出発するか?」
「そうだな。装備も用意できたし、近場に出てみるか」
「だいぶ時間がかかったから早く行こう!」
「おちつけスノー」
とうとうここから、俺のVRMMO生活が本格的に始まるのか。
そう思うと、自然と足が駆け足になっていく。
「おいおい走んなよ。あわてなくても逃げ出さねえよ」
「そんなこと言われても、自然と駆けだしちまうよ。自然と」
「後ろ向いて走んな。こけるぞ……」
「バカ言ってるんじゃねえよ。そんなにホイホイ転ぶか……おぅ!?」
そこには、顔面からこけた女の子の姿が……泣きたい。
とうとう街から出ました!が、どうにも残念な出発でしたね。
自分の設定では、耐久は、なくなる前なら材料次第で直せますが、耐久がなくなると、自然崩壊するって設定です。
イメージは艦○れの大破と轟沈って感じでお願いします。
……いや、違うんです。パクったというわけではなくてですね、自分のイメージに合うものは何かと考えたら艦○れだったわけです。偶然の一致というアレです。
修正
石の短剣 ATK+5・石でできた一般的な短剣。 耐久:100
↓
石の短剣 ATK+8・石でできた一般的な短剣。 耐久:200
冒険者の服(女) VIT+5・初期装備の服。初期ながらそれなりの能力はある。 耐久:200
↓
冒険者の服(女) VIT+10・初期装備の服。初期ながらそれなりの能力はある。 耐久:500