旧Link.5
『お待たせしました。マドレーヌと紅茶のセットです』
注文した品が来るのを横目で見ながら、俺はさっそく右手を振ってメニューを出してみる。おぉ!出てきた出てきた!この宙に浮かんだ半透明のメニュー画面、まさしく想像した通りな構造しているぜ。
それじゃあさっそくいろいろ見ていこうk
バタンッ!
「きゃぁ!悠に……じゃなくてユクロス、どうしたの?」
さすがは初雪ちゃん。俺の言ったことを聞いていたのかPLNで呼んでくれている。
だが今はそれ以上にキツイことが……
「いったいどうしたの?」
「あぁ。現実を見ちまったんだろうな」
「えっ?」
「メニューの最初にあるのはPLN、そしてその横にあるのは?」
「……あっ!」
そう、そうなのだ。メニューを開いて早々に目に付いたのが、
《PL》ユクロス 女
の文字だったのだ。メニューを開いた時点で詰んでるっ!
「メニュー開いた時点でわかるじゃないかこれっ!」
「まぁな」
「わかっていたなら言えよっ!」
「言わない理由くらいあるさ」
ん?なんだ?言わないでおくことで何かいいことあるのか?あ!そうか、女とわかっていれば、この後のスクショも何も怖くな
「見てる俺が面白い」
「ざけんなっ!」
そうだった。こいつは、みている限りはいい奴に見えて、その裏で何事もなかったかのように痛いところを突いてくる奴だった。
「そしたら現実がわかったところで、他のメニュー欄もチェックしとけよ」
「お、おう」
そして何より俺に容赦がない。まったく、俺の何が気に入らないのか。
今更それについて言ってもしかたないので、とにかくステータスから見ていくとしよう。どれどれ?
《PL》ユクロス
ステータス
HP:100
MP:100
ATK:5
INT:5
VIT:5
AGI:5
DEX:5
LUK:5
ジョブ Pt:50
【】【】【】【】【】
スキル Pt:0
スロット
《》《》《》《》《》《》《》《》《》《》
ふむ、違いがわからんが、すごく平均的な気がする。弱い方に。
というかジョブがなにも付いていない。
「なぁ」
「あぁ?なんだ?メール送るのに手間取っているから簡潔にな」
「ジョブが付いてないんだけど」
「そんなの取ってないからだろ?」
「え?メイキングの時に取ったはずだけど?」
「それはだなぁ……めんどい!雪、後は頼む」
「う、うん。えっとね悠兄ちゃん、あっ!」
「いや、間違えそうだししばらくは悠でいいよ」
「あ、ありがとう」
こんなことでお礼を言われてもなぁ。
「それじゃあまずね、メイキングの時のジョブ選択はまだ付いてないの」
「つまり?」
「ジョブの下にあるのは今つけているジョブで、ジョブの文字のところをタッチするとね、取得ジョブ一覧と未取得ジョブが出てくるの。そこから欲しいジョブを見つけて、横に書いてあるPtで取得して付けるようにするの」
なるほど。じゃあさっそく。
ジョブ Pt50
【】【】【】【】【】
控えジョブ
【】【】【】【】【】【】【】【】【】【】【】【】【】【】【】
未取得ジョブ
【コソドロ:0】Pt5 【見習い錬金師:0】Pt10 【見習い裁縫師:0】Pt7 【料理アルバイト:0】Pt7 【DEXup:0】Pt5 【AGIup:0】Pt5 【S・釣り:0】Pt3 【S・読書:0】Pt3 【S・ペット:0】Pt5
となっている。
というか、
「錬金師が消費Pt一番高いのか」
「そうなんだ。あ、最初の選択次第で、初期Ptで取りきれない場合もあるから気をつけてね」
なに!?えーと?ふんふんふん……おぉ、ぴったし50ある。よかったー。
それならどんどん取得していこう!えーと、取得。取得。……
「あ、あとPt残しておいて、後で取る上位のジョブや新規のジョブに残しておいてもいいんだよ」
取とk……ん?なんだって?
「もしかして、Pt使いきらない方が良かったかな?」
「え、もう全部取ったの!?……まぁ、いいんじゃないかな?先のことより今のことじゃないかな」
なんか達観したお考えで。
「それで、どんなジョブを取ったの?」
「あぁ、それなら……」
自分の取ったジョブについて説明しようとすると、
「よし、送ったぞ!悠のジョブだって?」
と、吹雪が会話に入ってきた。
「ずいぶんかかったな。いつものおまえならとっくに送っているだろう?」
「いやぁ、開始直後だからかメールが混雑していてな。ほら、俺たちみたいに、すぐに集まれるとは限らないだろう?」
「それもそうだな」
「というわけで、メールが届くのにも時間がかかるだろうし、おまえのジョブについて聞かせろ」
「あぁ、わかったよ」
というわけで説明すると、
「おい、序盤からそこまで趣味を取りに行かなくてもいいだろう」
「そうか?楽しむことはいいことだぞ?」
「でも最初から3つも趣味を取りに行かなくてもいいんじゃないかな?」
「それに、序盤ですぐに使える趣味がないし」
「え、そうなのか!?」
え、もしかしてヤバい?
「あぁ、街の中に川はなかったはずだし、近くの川も、しばらく東に行ったところにある大きな川ぐらいしか見覚えないぞ?」
えっ?
「それに読書だって本を手に入れてからが本番でしょ?お金のあまりない序盤じゃ買うのも大変じゃないの?」
うぇえ!?
「それにペットはLUKが高くないと失敗するうえ、ログイン中は食事を与えないとだし、どうするんだ、おま」
「もうやめて!俺のHPはゼロよ!」
ぼ、ボロクソである。
「なにいってるんだよ。ゲームの中なんだからHPは丸見えだろ?」
あぁ、そうだった。今のおれにはHPが100もあるん
HP:110
あれ?
「HPが増えてる?」