火力発電や原子力発電は古い?
語り手がキヨシーから宇城先生になりました。
もう一回は出す予定。
「原子力発電は古いんだ。」
と、言ったのは我らが尊敬する宇城理先生である。
宇城先生は物理担当で、授業はとても分かりやすい上、ためになる。物理と家庭を愛する一般的(?)な教師だ。
原子力発電は古い。そう宇城先生が言い出したのは物理基礎で熱機関について勉強していた時のことである。
そもそも熱機関とはなにかというと熱の一部を仕事に変換する装置である。
「熱を仕事にに変換する道具はたくさんあってーー…佐藤、例をひとつ。」
「車?」
当てられた生徒は車、船等をあげて行く。
「身近に使われとるんはガソリン機関やね。他にも蒸気機関、ディーゼル機関があります。」
蒸気機関はイギリスなどが産業革命の時につくったもので、現在はあまり使われていない。
ガソリン機関は車などに使用されている。
ディーゼル機関は現在バスやトラックなどの大型車に使われている。
と、そこまで説明してから宇城先生は熱効率、とかいた。
これは熱をどれだけ仕事に変換できるかというものである。
先生は続けて
『e=W/Qin
=Qin-Qout/Qin
=1- Qout/Qin』
と書いた。これが熱効率を求める式だそうだ。
Qは熱量を示す。Qinは熱機関に与えた熱量、Qoutは熱機関から仕事にならずに出ていった熱量を示している。
「また、経験則的に知られているのはこの熱効率が1であるものは存在しないということです。」
先生はまたチョークを取り、そして続けた。
「これを熱力学第2法則といいます。」
黒板には
『熱力学第2法則…熱は高温物体から低温物体へと移動し自然にその逆は起こらない
→与えた熱を全て仕事に変えることは出来ない。
熱効率e=1の熱機関は存在しない』
と書かれた。
「例えば、先ほど例にあげたガソリン機関は熱効率がおよそ20〜30%です。ガソリン機関は広く使われていて勿論発電所にも使われとるけど、せいぜい3割しか仕事に変換できません。したがって7割の熱が温暖化に貢献しとるわけやね。」
他にも蒸気機関は熱効率が10〜20%、ディーゼル機関は30〜40%だと先生は説明した。
生徒は食い入るように宇城先生を見ている。流石の話術である。
「火力発電も原子力発電も古いんやね。」
そうして、冒頭の言葉を先生は言った。
「両方とも、お湯を沸かして、その蒸気の力でタービンをまわして電気を作っています。原子力発電の仕組みそのものは百年近く前から考案され、いままでずっと使われとるわけやね。」
火力発電にしろ原子力発電にしろ、踏む手順が多いから、他のところにエネルギーが逃げてしまう確率もそりゃあ高まる。
元々効率が20〜30%のものをよくしようと言ったって限界があるわけで。
熱の性質上、効率を100%にするのは不可能だから。
「だから、君たちの世代にエネルギー革新が求められています。」
新しい代替エネルギーとして先生があげたのは光である。
「光は粒の性質を持っています。気候条件やコストなどから現在安定的に電力を供給することはできていませんが、そこをどう解決するかがミソですね」
他にも、と例をあげたのはL.E.D.ライトである。
これも熱効率がある。
「最近L.E.D.ライトが騒がれていますが、それは元来の白熱電球や蛍光灯とは仕組みが違うからやね。」
白熱電球は高熱にすることで発光させる。90%は熱なのである。
蛍光灯は電子を加速させ紫外線を出しそれを可視にする。割と遠回りである。
「L.E.D.ライトは電気を直接光に変えるので他の明かりとちがって効率がいいんです。
」
と、説明すると
「君らの世代で変えていかなければならないんです。自分達の世代とはまた違った考えがあるでしょう。」
と、言い、次の話、電気へと話を進めていった。
宇城先生(仮名)はたまにためになるお話をしてくださるんですがそのうちのひとつです。
宇城先生は波が好きなんじゃないかな。
まあ物理大好きだということにはちがいありません。
話にも出てきたエネルギー革新はうちのクラスの秀才Hくんがきっとやってくれると思うんで期待です。
石油が枯渇すれば今の生活は送れないので、武田邦彦さんがおっしゃる通りなら50年後までにはどうにかなっているといいですね。