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日食の町で  作者: 白神 こまち
第二章
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記憶の断片より 松倉秀隆

「学生というのは真面目そうな男子と茶髪の男子、それに黒縁のメガネをかけた女子か!?」


 松倉は携帯電話に向かって怒鳴った。



(どうして彼らをあんなことろへ向かわせたんだ。湯田に嫁いできて何十年も経つのだから、日食のことは頭にあるだろうに)



 旅館の女将でもある妻が、天文部の学生に三之神社での金環日食観測を勧めたことに対して松倉は年甲斐もなく苛立った。


 そしてまた、落ち着かない気分になった。



(2班に分かれた学生たちで野球場に向かった班ほうは心配いらないが……)



 松倉は、ほかの役員と共に湯田町の公民館にいた。


 この公民館も桧屋旅館とおなじように敷地の境界に沿って注連縄が巡らされている。



(日食の間、この結界の中にいれば安全なんだが)



 袖を捲り、腕時計に目をやった。日食まで10分を切っている。



(これでは彼らを呼びもどせない……。野球場は注連縄を張ったことで結界の力に守られるはずだ。しかし、三之神社に注連縄は張っていない。昨日執り行った清めの儀式からも外にいる)



 松倉は三之神社の向かった学生のことが気が気でなく、妙な胸騒ぎをおぼえた。


 そして自身でも抑えきれない焦燥感に駆られて松倉は、公民館にいる役員に向かっていった。



「なんだか嫌な予感がするんです。還日祭が終わったら、島の祠へボートを出しましょう」

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