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日食の町で  作者: 白神 こまち
第一章
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記憶の断片より 江口慶介

湯田町ゆだまちは、岩手県の中西部に位置し、湯田温泉峡で知られていた町である。2005年(平成17年)11月1日に沢内村と合併し、西和賀町となった。

――Wikipediaより


本作品に登場する湯田町は、作者が物語性を持たせるために脚色した箇所が複数あります。実際の西和賀町(旧湯田町)には一切関係ありません。

「俺たちは、ここへ来てはいけなかったんだ」


 湖に浮かぶ島で、慶介は理解した。

 彼女はまだ生きている。俺たちになにかを伝えようとしている。

 彼女のメッセージからは鬼気迫るものを感じる。己の存在を残しているようであり、助けを求めているようでもある。そしてなにか、漠然としたいいようのない無念さが滲んでいる。


「俺たちは間違っていたんだ、あれでは解決できないんだ。……もどらなければならない!」


 だが、どうやって? どうすればもどることができる?

 慶介は背負っているバックパックをひっくり返すと天体に関する参考資料を掻き漁り、ページを捲り文章を指でなぞり、その項目を見つけた。


「次の日食は……4年後……」


 愕然と両膝を突いて慶介は、勃然たる怒りと失望を神に訴えるがごとく天を仰ぐ。

 湖面に細波を立てる風が吹き、資料のページがぱらぱらと捲られ、あるいは風に乗って夏空に舞った。


「だが、なにか手段はあるはずだ、あちらにもどる方法が。今度は俺が彼女を救い出す……!!」


 慶介はつよくこころに誓い、彼女が立っていた場所を見つめ、拳を握りしめた。


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