神様のひこうき
神様のひこうき
かつて神様が飛ばした紙ひこうきは、
空と海を分かち、陸を隔て、
落ちた処から碧が芽吹いた。
そう、すべてがうまくいっていた筈なのに。
僕が茜の空に見た
空より真っ赤な飛行機雲は、
空を分かち、人の心を隔て、
つながりを引き裂いた。
そう、いつの間にか
僕等は何様?
只一心に未来だけを求め
それで、どうなったというの?
迷える子羊でも子山羊でも変わらないのならと
放り投げた僕自身
いつの間にか
自分の手さえ満足に見えなくなって
足の先から消えて行った。
もう一度見た
宵のそれには
もう飛行機雲は見えなかった。