【クエスト】鉄馬からの落馬と勇者の掌返し
雨上がりの夕暮れ。
俺はデイリークエスト(仕事)を消化後、鉄馬を駆り、帰路を急いでいた。
だが、路面に潜む魔の罠、マンホールに足元をすくわれ、無残にも落馬。
幸い、装備の耐久値と俺の頑丈さで致命傷は免れたが、肩と腕に負傷を負ってしまった。
帰宅した勇者(嫁)が、俺の負傷を聞きつけ駆け寄ってくる。
その表情は、今までに見たことがないほど深い慈愛と心配に満ちていた。
「大丈夫!? 怪我はないの!?」
その聖母のような声に、俺の痛みは半分以上癒やされた気がした。
俺は、
「ああ、肩が少し痛むのと、腕に擦り傷が……」
と言って、名誉の負傷?(じゅくじゅくの擦り傷)を彼女に示した。
俺の傷口を覗き込んだ彼女が、次の瞬間に放った言葉が、
「…………………………キモッ」
さっきの心配どこいった!?
心配という名の聖属性のバフは一瞬で剥がれ、俺の心には「キモッ」という闇属性の消えない刻印が刻まれた。
どうやら彼女にとって、俺の生命の危機は心配の対象だが、生々しい傷口は生理的拒絶の対象だったらしい。
【緊急追加クエスト】
ちなみに、帰宅した長女にも見せたら、
「…………………………キモッ」
うん、さすが親子。
▼ 本日のリザルト
被害状況: バイクの修理費 + パパの心の傷(特大)
HP:オーバーキル
嫁のステータス: 慈愛 → 嫌悪(最速の状態変化)
教訓: 傷口を見せていいのは回復術師(医者)だけだ
補足: 翌日、一応病院に行ったら肩付近の小さな骨にヒビが入ってた(泣)




