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8/13

8話目


あたしは昨日、電子の世界に別れを告げた。

それは歌子との別れでもある。

あの憎っくき歌子をギャフンと言わせられなかったのが悔やまれるけれど、

やっぱりあたしは現実の世界で生きていくわ。

さようなら歌子。

そしてこれが最後の確認よ。



カチッ


★7  ●5



数字が増えてるわ。

歌子、読んでくれたのね。

という事は追記にも目を通したということよね。

コメントもくれてるわ。

これが歌子の最後のコメント・・・


見るわよ。

歌子。

あなたの最後のコメントを



カチッ


(逃げんのかよ?だっさ)路地裏の歌子


は?


はぁ~あ!!?


な!何よッ!!

ざけんじゃないわよッ!

こ、こ、この!このあたしを!誰だと思ってんのよッ!


霧乃城レイ子よ!

誰もがひれ伏す、霧乃城レイ子なのよ!



ウキィイイーーーッ!!!


こいつ!この女!

絶対に許さないわよ!


ウキィイイーーーッ!!!


撤回よッ!!

中断を!撤回するわよ!

見てなさい!歌子!


8話目よ!

行くわよ!

書いてあったけど、もう発表することは無いと思っていた幻の8話目を投稿するわよ!

切りの言い7話目で中断するつもりだったけど!

行くわよッ!


おりゃぁあ!

いっけぇー!!8話目ーッ!


カチッ


投稿したわ。


タジロウに電話よ。


『・・・・・』


「もしもし、タジロウ?」


『・・・・・』


「もしもし?」


『・・・せ・・・先生?』


「何よ、あんた。

 なんで小声なのよ?」


『・・・今・・・会議中・・・です』


「あんたよく会議中に電話なんか出れるわね」


『き・・・切ります』


「ちょ、ちょ、ちょっと待ってタジロウ!

 話さなくていいから聞いて!

 OKなら電話を1回、

 NOなら電話を2回叩きなさい」


コン!


「よし!いいぞタジロウ!

 じゃまずは、今すぐ小学1年生の感じで、元気一杯に手を挙げてみろ」


コン!コン!


「NOか・・・

 そしたら、高校3年生の感じで、だらしなく手を挙げてみろ」


コン!コン!


「これもNOか・・・

 よし!そしたら、」


『き・・・切ります先生』


ブチッ


何なのよ、つまんないわね。

全然、気がまぎれないじゃないのよ!


そうね、料理でも作るわ!

冷蔵庫の中にあるもので、ちゃちゃっと美味しいものを作るわ!


えっとこの冷蔵庫の中に・・・


あるもので・・・


・・・。


出前を頼むわ。

どこがいいかしら。


ピロリロリロリロ!


あ、電話だわ。

タジロウだ。


「もしもし?」


『先生!!何ですか!

 さっきの電話はッ!』


「ちょっと!声が大きいわよ!

 なに興奮してんのよ。いい大人が・・・」


『会議中に手を挙げろとか!』


「違うわよ。元気よく手を挙げるのよ」


『どっちでもいいですよ!そんなの!』


「良くないわよ。

 資料なんだから」


『え?何ですか?』


「だから資料よ」


『資料?』


「そうよ。

 人が突然あられもない行動をとると一体どうなるのか?よ」


『は?』


「人が突然あられもない行動をとると、」


『聞こえましたよ!

 そうじゃなくて理由を知りたいんですよ!』


「決まってるじゃない、小説の資料よ」


『何の小説ですか!?』


「新作よ」


『新作って、

 それどういう内容なんですか!?

 やっぱり内容はこっちから指定させて頂きます!』


「もーあんたはすぐ怒るんだから。

 それよりタジロウ!

 あんた、美味しいお店知ってる?」


『え?何ですか?もしかして、

 先生おごってくれるんですか?』


「違うわよ!

 何であたしがあんたにおごんなきゃいけないのよ?

 どちらかと言うと、あんたがおごる方でしょうよ?

 出前よ!お腹空いたから出前を取るのよ!」


『先生は相変わらず、出不精なんですね』


「デブって何よ?」


『違いますよ、出不、』


「出不精ぐらい分かるわよ。

 で、どうなの?出前できる美味しいお店知ってるの?」


『分かりましたよ。

 それじゃ、適当に3軒ぐらい選んでメールで送りますから。

 失礼しますね』


ブチッ


あ!そうだ。

そろそろ確認してみるわよ。


出不精のクリックよ!


カチッ



★8  ●6



お!

数字が増えてる。

来たね、歌子。

どうよ?

復活の8話目は?

さぞかし感動したことだろうよ?

ウッヒッヒッヒッヒッ!

さあ来い!


カチッ




(8話目の頭が繋がっていない。やり直し)路地裏の歌子



や!やりなおし!!?

歌子ー!!

あんた!誰に向かって言ってんのか分かってんの!!

霧乃城レイ子よ!

今あんたは誰もがひれ伏す霧乃城レイ子とメッセージを交わしてんのよ!

歌子!あんたはとてつもないこの奇跡を分かってんの!!?


ウキィイイーーーッ!!!


ちくしょー!

確かに焦って投稿してしまったのも事実だわ!

確認ミスよ!

けどね!

あんたは中断からの復帰を少しは祝いなさいよ!

ちったぁ連載再開の喜びの声を聞かせろって話しだろうよ!

言いたい放題言いやがって!


やり直してやるよ!

やり直しゃーいんだろ!

やってやんよ!

こんちくしょう!


待ってろよ歌子!

9話目だ!

9話目こそ勝つ!

誰もがひれ伏す霧乃城レイ子が!

そう!このあたしがね!!




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