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「死の商人」は平和を希(こいねが)う

作者: 蒼月トモカ

1888年・ストックホルム

町はずれのカフェに1人の男が駆け込んできた。手には新聞を持っている。

「おい、これを見てくれよ!」息を切らしながら男が叫ぶ。

『死の商人、死す』そう書かれた紙面に、皆の目が釘付けになった。

「死の商人って、いったい誰のことなんだ?」

「お前、知らないのか。ダイナマイトってのを作ったノーベルのやつのことだろ」

「聞いたことはあるな」「確かに、戦争に使われてるんじゃあぼろ儲けだろうな」

カフェ中がにわかに騒がしくなった。同じような光景は、ここ以外でも見られただろう。そして、この知らせは――


ノーベルの耳にも入ったのだった。

一般に「ノーベル」と呼ばれるのは、19世紀を生きた発明家・実業家であるアルフレッド・ノーベルのことである。そして、この年に亡くなった「ノーベル」とは、彼の兄のことだったのだ。


ノーベルは考えていた。自分の作ったダイナマイトが、戦争に使われるであろうことは分かっていた。それでも、まさか「死の商人」と呼ばれるほどになるとは思っていなかったのだ。

それだけ多くの人に恨まれる身となった自分が恐ろしかった。それならば、今、自分にできることは何なのか。

これまで生きてきた利益を、人々の幸せに貢献した人に分け与えることで。人類の更なる発展を、少しでも応援できたら――


こうして設立されたノーベル賞は、今や世界屈指の権威ある賞となっている。

毎年10月に6つの部門の受賞者が発表され、ノーベルの命日である12月10日に授賞式が行われる。

もし、彼が「死の商人」と呼ばれていなかったら、世界は一味違っていたのかもしれない。

ノーベル賞をテーマに書いてみました。

受賞と授賞の違いなど、調べ物に時間がかかりましたが、サクッと読める短編になりました。

いちおう秋の歴史参加作なので、最後に分水嶺の要素を入れました。


読んでくださりありがとうございます♪

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