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侯爵子息の我儘な行状  作者: 相楽 二裕
行状2 (そうだ、)カンペリ、行こう
9/40

◇第4節◇

 それから間もなく、使用人そして地元のエドガたちの尽力により、浜に一軒の海の家が建った。


「完成したぞ!」

「もうですか?」


 ヨハンはすっかり骨抜きになり、浜辺にも行かず宿舎でダラけていた。

 

「なんだ掘っ建て小屋じゃないですか」


 一目みてヨハンはつまらなそうにボヤいた。俺がどんな立派な構造物を建設するのかと期待していたのだろうが。


「どうだ立派なもんだろう」

「こんな小屋を建てて何をするんです」

「営業するのだ」

「営業?」


 供に連れてきている料理人のジェムスに目をくれると、彼はニヤリと笑った。

 ジェムスが奥から何か取ってくる。


「飲み物ですか?」

「地元で採れる果物の、何種類かの果汁を絞って混ぜ合わせたもの――いわゆるミックスジュースだ。気化熱を利用して冷やしてみた」


 それを一口飲んでヨハンは目を瞠った。

「これは……!」

「皆も試飲してみろ」

 供の者や、海の家建設に携わった地元の民に配ったところ、

「なんというさわやかな飲みものだ!」

 口々に賞賛する。

「あと、焼きそばはないので焼きうどんにしてみた。これを鉄板の上で焼く」


 細うどんなら以前にも作った経験のあるジェムスが、海の家の厨房に設えた大きな専用の鉄板で腕をふるう。


「う、うまいッ!」


 皆の驚いた顔を見て、ジェムスが再びニヤリ、として親指を立てる。

 面倒臭がりのくせに、味を褒められると嬉しいらしい。

 料理人の性だな。


「しかしこれをどうするのです? 営業とかおっしゃっていましたが」

「だから、売るのだ」

「誰にです?」と誰もいない海を見渡すヨハン。


「海水浴客に、だ!」

「はぁ?」

「まあ見ていろ」

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