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未来・家族2   作者: 龍冶


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第13話 試練の日々その3

 第13話 試練の日々その3


 外に這い出て来た虫は多くは無く、火炎放射器で直ぐに片付いたようである。城にはまだ虫は来ていないが、火炎放射器を持って行かせた。やはり、消火器は有っても、火炎放射器など、設置してはいない。

 崋山はもう病院に行く事は出来ず、どんより地下室行きの扉の前に居て見張る事にした。他の三人は外の地下室行扉を見張っている。すると、非番になり自室に戻っていた司令官室担当の部下たちが、ぞろぞろ戻って来た。その中に先ほどの怪我で大部出血していた筈の、ギルンも居る。

「ギルン、出て来て大丈夫なのか」

 と、崋山が聞くと、

「平気です。司令官、交代しましょう。司令官も毒でやられていたんですよね。私も、怪我は治っているのに、のんびりしてはいられないですよ。それに司令官の側に居た方が安全ですし、あは」

 にっこり笑うギルン。崋山は、『言うなこいつ。それもそうだろう』と思い交代して、イヴ達の側に行く事にした。最上階の寝室で、それぞれ部屋で休んでいるだろうと行ってみると、女性陣四人揃って同室の寝室にいた。

「ふうん、皆で固まっていた方が安心だよね」

 と、崋山が言うと、マナミが、

「固まっていれば、もし虫が来たら、運の悪いのが食われるからね。やられる確率は4分の1で、それは自分じゃあないと皆、思っているんだ。で、その間に逃げる。あはは」

「だろうね。逃げ切れると良いね」

 マナミの軽い冗談に話を合わせた崋山は、

「俺が混じると5分の1で又確率が下がるから、ここに居てやろう」

 と言って、ベッドに寝転がると、マナミは、

「崋山は確率には入れられない。やられるはず無いから」

 と言ってニッと笑う。そして、

「実際、虫が来たら崋山は誰を一番に守るの」

 と聞くと、シオンが、

「あんたとあたしじゃあない事は確かだから、要らない争いの種を蒔くんじゃあないよ」

 と注意した。マナミも、

「そうだね、なさぬ仲の義理の母と子を崋山の愛の奪い合いなんか、起こさせちゃあいけないよね」

 するとイヴが、

「あんたら、あたしらの様子見て、手遅れだと思わないの。ドラマはもう、とっくの昔から始まっているのよ。あたしがこっちに戻ってくる前からね。リリーは降りたけど、もうすぐ双子も交じるからね」

 崋山はため息をついて、

「順番とか付けないからね。皆、立場が違うんだから。マナミとシオンも自虐的になるなよ。うざいし。今日俺、誰かを助けに行った気がするけど忘れたのかな」

 と言って置いた。白けてきたところで、下から声が聞こえて来た。アンママ達がやって来たようである。夜も遅いが、また皆で出迎えに行く事にして、1階に降りた。

 ガーズが連れて来ていたのだが、紳士的なガーズはお婆ちゃんの手を取って、歩調を合わせ、しずしずとお出ましである。どうしたのかとお婆ちゃんを観察すると、たった一日で随分と弱った感じがする。きっと孫の一人が、孫と思っていたらとっくの昔にアンドロイドに変わっていて、すでに死んでいたのは、年寄にすればショックですっかり気分が塞いでいる様である。

「お婆ちゃん大丈夫?暖かいお茶でも入れよか」

 マナミは直ぐに気を利かせて、日本茶を入れ出した。

「おや済まないねえ。もう遅いから休もうかと思っていたけど、お茶を飲んで温まりたい気もして来たね」

 お婆ちゃんは、リビングのソファに腰を下ろすと、ぼんやり空を見つめていた。

 崋山は、

「婆ちゃん、元気ないね。あれはリリーじゃあないからね。アンドロイドって言って、敵の銀河の奴らの作った機械だからね。お婆ちゃんたちの知っているもので似たようなのはロボットかな。リリーにそっくりだけれど生きてはいないんだからね」

 と言って慰めると、

「でも、暖かかったよ。あたしを見て悲しそうに眼を閉じたんだよ。そんな風だから、爆発したとき外に出すのが遅れて皆怪我してしまった。あたしの所為なんだよ」

「そんな事ないよ、婆ちゃんの所為じゃない。爆発物を仕込んだ奴らの所為だから」

 伯母さんも、

「さっきから塞ぎ込んでしまって、さあさあ、お義母さんお茶が入ったから温まりましょうね。飲んだら横になりましょう。とても疲れているようだから。もう休んだ方が良いわね」

 と言って、シオンやマナミに、

「大勢で押し掛けちゃったけど、あんた達と一緒に寝たいわね、部屋はどうなっているのかしら」

 と聞いている。

「ママも一緒に固まって居たいと思うでしょ。こっちは機械の虫が居るの。地下室に閉じ込めてあるけど扉を食って穴開けて来そうなんだって、崋山がやっつけるけど、もし一匹でもやってきたらアウトよね。皆で固まって寝るつもりよ。て、言うか、交代で見張りたい気分」

 シオンが言うが、崋山は、

「心配いらないって、取り逃がしたりしないよ。さっきは居ると思わなかったけど、もう分かっているんだから、同じ失敗は無いから」

 と言って、

「最上階は遠いからそこまで来やしないって。さあ、上に行った、行った」

 と皆を促した。ぞろぞろ、イヴ達に寝室へ案内させていると、アンママが側に来て、小声で、

「前に船がやられた虫の事でしょ、崋山ったら、安請け合いしないで、あたし達にも火炎放射器持たせてよね」

 と言い出した。

 崋山は、

「しっ」

 と言って、口パクで、

「ガーズに持って行かせるから、じゃあ、イヴとママとで2個あれば良いね」

 と言うと、納得した様である。

 女性陣は寝室に引き上げ、用心にガーズに2個火炎放射器を持って行かせた後、崋山は地下室行の扉に耳を付け、様子を窺うが、何も音はしない。居ないのだろうか。

「もしかしたら、井戸の方に行ったのかな」

 呟いて、横に居たギルンに、

「井戸の見張りは今、誰がしている」

 と聞くと、

「さっき皆で速乾のコンクリート流したから、居るかな」

 と言った。

「あほう、コンクリート位食うぞ。何処からか観察してコントロールしているはずだ。見張りが居ないと見て、井戸に行ったんだな。地下は静かすぎる」

 崋山は大急ぎで外に出ようとすると、寝室から大騒ぎの声が聞こえた。

「しまった、外から上がって来たんだ。俺は皆の所に行く。お前も来るか、外はもう手遅れだろう」

 と言う事で、崋山は階段を四段飛ばしで直ぐに寝室に駆けつけ、ギルンも後に続いた。イヴやアンが頑張っていたので、交代して虫に火を放った。

 皆が、

「外から来たよう」

 と叫ぶので、

「悪い、井戸に見張りが居なかった」

 と言いながらそれでも、あまり多い数では無かったので、何とか片が付いた。外も又騒がしくなっていたが、今朝の山で片付けた分よりはかなり数は少ない。直ぐ静かになった。おそらく、封鎖前にいくらかたどり着いていた、地下室に居た分と言う事だろう。

 マーガレットが、怖がって崋山に抱きついて来た。

「ごめんね、怖かったね」

 崋山はイヴに小声で、

「井戸にさっきも少し出て来ていたのに、見張りさせていなかった。俺って、上司としてどうなのかな。戸田さんに采配お願いしたいな。俺は、ちょっと経験不足は否めないな」

 イヴは、

「仕方ないよ、こんな虫、皆初めての経験だろ。次は大丈夫だよ、きっと。でもどこから動かしているのかな」

 崋山は予想として、

「どこかの国の、衛星設備を乗っ取っているんだろうな。上から見ているんだろう。最近のはかなりズームできるから、井戸にコンクリート入れて、見張り置かなかったのを観察されていたな。そいつ、撃ち落としとかないとやってられないけど。勝手には出来ない。連合軍から言ってもらおう。撃ち落とすのはそれからだな」

 そこへ、非番帳消し組の、司令官室に待機していた部下が来て、

「司令官、城に虫が来て、不味い事になっているらしいです。王様達は逃げてこちらへ向かっているそうですし。近衛兵が火炎放射器で防ごうとしましたが防ぎきれずに、逃げられる状態の者は撤退中だそうです。つまり彼ら近衛兵もこっちに来るそうです。城は電力の封鎖設備とかありませんからね。せいぜい石垣の壁ですから」

「そりゃ、上って来るよな。それにしても城に通じる地下道っていうのは、何処に出入口があるのかな」

「敵の人間がそこから来るかもしれないという用心のため、城の石垣の外でしたけど、虫には通用しませんからね」

「そうか、随分大所帯になりそうだな、彼等の泊る所とかあるのかな」

「迎賓棟に入ってもらうしかないけど、今から掃除ですかね」

「止めとけ、あっちにも家来は居るだろ。そいつらにしてもらおう。こっちはそれどころじゃないよ。市中にだってうろつきだすぞ。地下道に通じていそうな所を皆で見張るのが先だ。お前らで考えろよ。俺はまだ、そこんとこ知らないんだからな。とは言っても、今となっては、城を襲った奴の残りがうろつくのは、地下道に限ってはいないかな。だが、地下道の分かる地図、あるなら持って来て欲しいな」

「あると思います。戸田さんはまだ帰らないし、俺等でやるしかありませんね。直ぐ持って来ます」

 そう言って、確かシューと言う名の部下は、慌てて司令官室に引き返して行った。崋山は以前戸田さんから見せてもらった司令官室担当のメンバーの名の一覧表を思い浮かべて、シューには、あれも持って来てほしかったと思った。それから、ギルンが横に居たので思いついたことを言った。

「火炎放射器足りないな、何処かにもっと無いかな。皆で市中見回りだ。お前、皆の能力知っているなら、4、5人のグループ分け出来るかな。戸田さんは居ないし」

「ですよね。火炎放射器は予備の武器庫にいくらかは有ると思いますけど、全員には行きわたらないと思います」

「それなら、持てない奴は燃料の予備を持たせよう。それにしても、ここのメンバーの名前と顔、俺はまだ把握して無いからな。そういうのはまだ見る時間無かった。不味いと思うがはっきり言って手遅れ」

「しかし、まだ司令官は、正式の赴任の日にはなっていないですよね」

「おや、そうかな。お前、俺の来る予定の日知っている」

「確か、来月からでしょう。あと四日あります」

「そうなのか、じゃあ俺の責任って事じゃあないんだな」

「そうです。戸田さんが暫定の司令官代理ですよ」

「なるほど、建前はだな。さっきの虫は実際、俺の指示ミスだけど。ま、いっか。戸田さんに早く帰って来いと一応言ってみよう」

 崋山は戸田さんに連絡してみた。きっとアランともめているだろうが、それどころでは無い。

「戸田さん、早く帰ってこないと、こっちは混沌状態ですよ」

「どうした。何があった」

「虫が又出て来て、こっちに出て来たのは、封鎖前に来ていた分で、何とか片付いていますが、城に地下道から行って襲っていて、王族様やら、近衛兵やら皆、この基地にやって来るそうです。城は虫によって陥落したようですよ。城に行った虫は片付けられていなくて、市中にうろつきそうです。火炎放射器が全員に行きわたらないし、おそらく敵は人工衛星から虫をコントロールしていると思うんですよね。だから何処の衛星か調べて撃ち落とす許可ももらわないと、と言う所です。俺としては、お手上げに近い感じです、早い帰りをお願いします」

「何と言う事だ。分った直ぐ帰る。途中、火炎放射器が有りそうな所によるかもしれないが。いや、それは後にしよう。王族が来るんだったら、俺がいないと不味いだろう。直ぐ帰る」

 ガーズとギルンが横で様子を窺っていたので、崋山は、

「戸田さん、直ぐ帰って来るそうだよ。なんせ彼が今の所、司令官代理なんだし。俺はまだ赴任前らしいしね」

 と言っておいた。

 それにしてもさっき話題の人工衛星は、崋山はよく考えてみると、この近くに居たからと言って敵に乗っ取られているとは限らない。画像だけ映っている分を別の衛星から通信で見て、虫を操作しているかもしれない。だとしたら、近場を通った衛星を撃ち落とした所で無駄かもしれないし、衛星からの画像を見て、かなり遠方の宇宙船から虫をコントロールすることも出来そうだ。考え出したらきりがない。


 がっくり肩を落として、扉を見張っていると、外を窺っていた司令官室付きの部下の一人、リッキーが、崋山に、

「戸田さん達が帰って来ましたよ。外で王族たちと落ち合って来たようです。システムを何度も解除する訳にはいきませんからね」

 等と見解を言ったにもかかわらず、地下室扉の中が急に虫で騒がしくなった。

「あれ、まさか全部封鎖解除したの。門だけ開ければいいのに。馬鹿じゃない」

 と慌ててみんなで扉の前で構えた。

 崋山も全部解除したなら正気の沙汰ではないので、違和感を感じた。ここに来た奴の中に敵がいると思った。

 直ぐに、たくさんの虫がかじったせいで、扉の傷から虫が出て来た。しかし、出口が小さかったし、構えて待っていたので、少し多い虫達だったが、直ぐに駆除できた。扉の修復は部下たちに任せて、崋山は戸田さんたちのところに行く事にした。はっきり言ってアランが怪しい。いくら何でも、ここのすべての封鎖を解除する馬鹿は、ここに居るはずはない。崋山は油断せず、様子を窺うと、やはり、アランは崋山を見て人質を確保しようと動きを見せたので、そうはさせるものかと、あっという間に頭を撃ち抜いた。

 それに驚いた戸田さんは、

「アランはリセットしたのに」

 と言ったが、銃を持って倒れているのを見て、

「違ったのか。油断も隙も無いな」

 と、がっかりしていた。

「封鎖を解除して虫を入れやがったからね。お蔭で外の皆も又騒いでいるでしょう。地下室にも虫が来たし、いったいどれだけやって来たのか。戸田さん、市中見回りが必要なので、皆を振り分けてくださいね。俺はまだみんなの能力は良く分からないし」

 崋山が言うと、戸田さんは、

「分かったが、その前に王様を紹介しよう。王様、彼が今度の司令官、依田崋山です。連合軍の防衛担当の司令官でもあります。崋山、お前からも王様に今までの事情や今後の事とか説明してくれ、俺は失礼して、部下達と市中見回りの事を話し合わないと」

「わかりました」

 崋山は王様に改めて向き直った。崋山より数歳年上のようだが、以外に若い。

「依田崋山です。どうぞよろしく」

 崋山はぼそぼそと、辛うじて自己紹介をし、

「では、事情を説明したいと思います。こちらの部屋にどうぞ、狭いですが、何とか座るだけのソファは揃っています」

 そう言って、玄関先の部屋に通した。潰れて壊れた虫が数体残っていた。誰かがざっと片づけたが、片付け切れていなかったようである。

「大丈夫かな」

 崋山が踏んでみると、急に壊れたと思っていた虫たちが動き出したので驚いたが、数匹だったので慌てて撃ち、何とか壊し終えた。その様子に王族たちは驚いたと、崋山は思っていた。

 ところが、王様達王族一同は、戸田さんに紹介された崋山を見て、崋山を見慣れていない為、その、この世の物とは思えない美しさに驚かされていた。王族はその血筋の良さから見栄えの良い人々だったが、崋山はレベルが違っていた。本来顔の造作が良い上に、新人類の利口さと、心の美しさが相まって以前カイが間違えたように、天使の降臨かと思える状態である。

 部下たちは、その点を指摘するのは、崋山が上司なので話題にする勇気がなかった。それで崋山本人もすっかり今まで、自分の容姿の特異性について思い至るのを忘れていた。

 王族たちが妙な感じもしたが、今から説明する事に気を取られていた崋山は、彼としても、いっぱい、いっぱいな状況なのだった。崋山は、王族様に分かるようにちゃんと説明できるのかと考えていた。そして思い至った。

 崋山は連合軍の味方の銀河同士の共通言語で、知識を得ていたし、ずっとその言語で暮らしていた為、戦争の事情については共通言語で思考していた。つまり王様達の言葉で説明の言葉が出て来ないのである。この国の言葉は知識として得ていたのだが、専門用語の羅列を訳すことが出来ないことに気付いた。本来、崋山の言語能力は複雑な単語の解釈が出来るほどではなく、あまり秀でてはいない。

 王様達を前にしながら、崋山は心なしかふらつきながら廊下に顔を出した。

「戸田さーん。この国の言葉では俺は説明出来無いですよ」

 元気なく、しかし戸田さんには聞こえていなくてはならないという微妙な声で、戸田さんを呼ぶと、後ろから、

「司令官、私たちも教養として、戸田さんから共通言語を習っていますが」

 と、王族のお方の一人が遠慮がちに言った。

 崋山はそうなんですかと、少し虚ろに戻り、分かってもらえるのかどうか不明ながら、説明する事にした。共通言語で、

「では、この戦争の経過から説明しておきます」

 と、以前連合軍に入隊したときの説明を思い出しながら解説していると、聞いている王族様の虚ろな様子から、全く通じていないのが察せられた。崋山はこの国の言葉で、

「私のしゃべる共通言語は、地球人が一般に話す共通言語に比べると、地球の発音の癖が無くて聞き取れない感じですね」

 と、見解を述べた。又廊下に顔を出し、

「戸田さーん」

 と、力なく呼ぶと、戸田さんがやって来て、

「司令官、一人で説明は出来ませんか」

 と、のたまった。仕方なく崋山は、

「俺の連合軍の共通言語は聞き取れないらしいです」

 と言うと、

「ここは地球なんだから、地球の共通の言葉で言えば良いじゃあないか」

 と、ごもっともな言い様である。

 崋山は、

「それはそうですが、連合軍の言葉が、専門用語が多くて、俺はこっちで何というのか知らないんですよね。戸田さんが俺の言う事を訳して説明してくれませんか」

「やれやれ」

 と言う事になり、崋山は、

「ひょっとしたら、昔の事情はもう、御存じですかね。最近の話からで良いですか」

 と、戸田さんに聞くと、

「いや、昔の話も御存じないだろう」

 と言うので、やはり以前の入隊の時の説明文を思い出して話し出した。戸田さんは遮って言った。

「司令官の共通言語の話し方は、本物過ぎて俺も聞き取りにくいな。地球人っぽく言ってくれないか」

「何処が分からないんですか」

「全部」

 崋山は仕方なく、連合軍のコンピューターにアクセスして、資料を出すしか無かった。

「事情はこれを見てもらって、俺は今からする事とかのザッとした説明に入りますから。敵方から来るブラックホールビームを防ぐ、シールド装置の設置についてです。あの山の地下に造りますからね。ビームをマジで食らうと地球は消滅します。どうしてあの山に造るのかは、理由はこの装置を検討している段階では、この辺が唯一の、まだ敵に乗っ取られていない場所だったのですが、今は敵がやってきましたね。これからどうするのかは、俺としても連合軍第3銀河のベル総司令官に相談するしかないです。恐らくここらで戦争をしつつ、シールド装置も設置と言う事になるでしょう」

 そんな説明をしていると、崋山の時計風コンピューターにベルさんから連絡が来た。

「あ、丁度ベルさんから指示が来ましたね。装置の運搬の護衛がてら、連合軍の戦闘船が来て敵の始末をしてくれそうです。こちとらは、シールド装置の設置専門の担当ですから。連合軍から設置のお助け隊も来るそうです。急ぐ必要が出て来ましたからね。そうだ、ガーズの親父さんは此処には来ていないですか」

 崋山が聞くと、戸田さんは、

「すぐ来るよ。さっきガーズが家族を迎えに行った。王様に言われてね」

「そうでしたか、材料の手配が急ぎますからね。それと、第7銀河から、手伝いの人たちが来ます。此処に滞在してしばらく暮らすことになります。彼らの住処を造るので、本部棟の地下から改装する事になりますから、王様達はかなり騒々しい所で暮らして頂かなければなりませんね」

 すると王様は、

「私たちは今までも、辛苦をなめて来たのですよ。それに比べれば大したことではありません。それより、私共にも何か出来る事があれば、ここで地球の危機を防ぐ手伝いをさせていただきたいと思っています」

「あの山を提供していただければ、何も言うことは無いと思います。しいて言えば、王族様方には、身の安全に気を付けていただきたいという所です。近衛兵に犠牲者が出る前にこちらに来ていただくべきだったのですが、予測できなかったですね。実の所、私の赴任は正式には来月だそうですね。戸田さん。敵は私の赴任前に片を付ける気だったようですね」

 戸田さんは、

「随分仕事熱心な司令官の登場で、敵方は計画どおりには行かなかったな。依田君がこんなに早々とやって来て仕事を始めたから、私も只事では無さそうだと思ったものだよ。それで部下たちに非常事態になりそうだと覚悟させておいた」

 崋山は、自分の初年兵としての入隊直後の気の無い様子を思い出して、戸田さん、さすがに危機感を感じたのかと思った。




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