第45話 気絶
今の俺のレベルは81だ。
このダンジョンは経験値効率が出鱈目に良く、短期間で一気にここまで上がっていた。
SPを使って新たに習得したスキルは4つ。
一つ目は、上級クラスであるバトルマスターの武術マスタリーLv10だ。
総消費SPは10。
筋力・器用さ・敏捷性・気力・体力にレベル×2%のステータスボーナスが付き、
格闘技術にも補正が付く。
二つ目は最上級クラスである拳帝の、拳帝マスタリーLv10だ。
総消費SPは20。
全ステータスがレベル×2%上がり、格闘技術に強い補正が付く。
三つめは同じく最上級クラスである忍者の、忍者マスタリーLv10。
総消費SPは20。
これも他の最上級マスタリーと同じく、レベル×2%のステータスが上がる。
このスキルの補正は体捌きだ。
まあ単純に動きが良くなる様な物だと思って貰えばいいだろう。
そして4つ目も最上級クラス。
但し前衛ではなく、後衛である賢者のスキルを習得している。
賢者マスタリーLv10。
消費総SPは20で、ステータス上昇効果は他の二つと全く一緒となっている。
但し補正が後衛向きで、魔法と回復魔法に強い補正が付き、更に魔法使用時に集中力がアップするも効果も付いていた。
ステータスは――
【Lv:81】
【クラス:スキルマスター】
【生命力】 156 (+430%)= 826
【気 力】 148 (+470%)= 843
【マ ナ】 128 (+380%)= 614
【筋 力】 148 (+790%)= 1317
【体 力】 148 (+470%)= 843
【敏捷性】 145 (+590%)= 1000
【器用さ】 146 (+690%)= 1153
【魔 力】 129 (+430%)= 683
【知 力】 136 (+450%)= 748
【耐久力】 142 (+480%)= 823
【抵抗力】 129 (+430%)= 683
【精神力】 152 (+450%)= 836
【S P】 3
――と言った感じだ。
取れる前衛系のマスタリースキルも、もうかなり限られて来た。
そろそろ攻撃系や、瞬間強化系のスキルの習得も視野に入れていく事になるだろう。
「まあ何とかなりそうだな」
現在は巨大なスライムと戦闘中だ。
正直、最初はちょっとあせらされた。
斬っても斬ってもくっ付きやがって、ダメージが通っている感じが全く無かったからだ。
だがまあ、燃やせばいい事に気づいてからは順調である。
剣を振って適当に切り落とし、くっ付く前に魔法で素早く燃やし尽くせばもう元に戻る事はない。
それを繰り返し、俺はスライムの体積を削り続ける。
……順調とは言え、まだ油断は禁物だが。
消えた爺さんの事も気になる。
スライムを倒してからが本番の可能性も高い。
「あと三分の一って所か」
これ位なら、強めの魔法で一気に燃やし尽くせるだろう。
敵の攻撃を避けながら、俺は素早く魔法陣を脳内でイメージする。
伝説マスタリーと賢者マスタリーの相乗効果で、今なら激しく動きながらでもこうして強力な魔法を容易く扱える事が出来る様になっていた。
かなり便利だ。
「燃え尽きろ!フレイムテンペスト!」
俺の放った魔法が、天井まで届く強烈な火柱となってスライムを飲み込む。
そしてそのまま跡形もなく燃やし尽くした。
「取り敢えず終わったわけだが……まあまだ終わりじゃないよな」
スライムを倒したはしたが、特に周囲に変化は起きない。
通路への出入り口は閉ざされたままだ。
この続きがあると考えて間違いないだろう。
そもそも、経験値が入って来ていないしな。
「しかし何も起こらないな。まさか、休憩時間をくれてるって訳じゃ――ぐっ!?」
急に全身に痛みが走り、視界が歪む。
攻撃はされていない。
一体何が?
「ぐうぅぅぅぅ……」
痛みはどんどん酷くなっていく。
更に強烈な吐き気も。
一瞬毒を疑ったが、俺には毒無効のアクセサリーがある。
普通に考えればそれはありえない。
「くっそ……」
だが万一の事を考え、ポーション類を袋から取り出し手あたり次第口にした。
更に、HPを全回復させるネックレスの効果も発動させる。
だが、苦痛と不快感は一向に収まらない。
「が……あぁ……」
全身を貫く、焼ける様な痛みが走る。
その強烈過ぎる苦痛に、俺の意識が混濁して行く。
踏ん張らないと……
この状態で気絶してしまえば、敵が出て来た時確実に死ぬ事になる。
だがそれが分かっていても、俺の意識は耐えがたい苦痛に堪えきれそうになかった。
「ぁ……ぁぁ……」
視界の端に、老人の姿が見える。
彼は此方を見つめ――
「その痛みを乗り越えた時、お前は――」
何かを呟いている。
だがそれを聞き終える前に、俺の意識は途切れてしまう。




