二通目 ~ラブレター~
翌日、登校して僕は下足箱を開けて固まる。そこにはまたしても紙切れが一枚。
なんだこの二日続けての紙切れは・・・。
今回は悩みも躊躇うこともせずにそれを取り出す。
昨日の今日だ。どうせこれも悪戯だろう、と昨日みたいに人気など気にせずに、今度はなんだよとその紙切れをよく見る。
それはハート型に織り込まれたメモ帳のようなもので、表と思われるほうにコウキ君へとかわいらしい字で書かれていてあり、への長いほうに交差する線が二本引かれている。
こんな感じのものをクラスの女子たちが授業中に回しているのを見たことがある。
どうやら今度のものはラブレターのようだった。
これが昨日の果たし状を貰う前に入っていたのなら素直に喜べたであろうに。
今となっては全くもって喜べない。悪戯なのだから。
昨日の果たし状を思い出しながら織り込まれたメモ帳を開いていく。
中には表に書いてあった丸字と同じ字でこう書いてあった。
"あなたのことが気になって仕方ありません。
今日の放課後体育館裏のプール前で待ってます。
来るまで待ってます。"
間違いなくラブレターである。
さてこれはどうしたもんか。
もしこれが本当に僕に好意を持った人からのラブレターだったら、
行かない理由なんてない。
しかしこれが前の果たし状と同じ人からのラブレターだったら、
それは行かないほうがいい。
前者だったら体育館裏でのどきどき告白タイム(受ける側、ここ重要)。
後者だったら体育館裏でのぼこぼこ暴力タイム(受ける側、これ重要)。
僕は知っている。
こんなラブレターを貰えるイベントは普通起こらないはずなんだ。現実で。
だからきっと後者のほうだ。
だがしかし、告白されるような振る舞いをした覚えはないが、不良とかに目を付けられるようなことなどなおさらしてない。
なぜだか、悪戯と決めつけ無視できない自分がいる。
きっと億が一の可能性にすがりたいのかもしれない。
人生でラブレターをもらえる人がはたしてどれくらいいるだろうか。
それがたとえ悪戯のものだとしても少ないのではないだろうか。
ほとんど起きないようなイベントが起きたのだ。様子を見に行くくらいの好奇心があってもいいだろう。
こっそり影から様をみて、悪戯か本物かの判断すればいい。
悪戯なら一目散に逃げればいいだけだ。
そう思い僕は体育館裏へと向かったのだった。