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すぐそこにある探し物

「ねぇ、ゴンズはどこにいるの?」

 マリは、サムに聞きました。


「ゴンズは、俺たちのすぐそばにいるよ」

 サムは、自分の胸に手を当てて答えました。


 サムは、ひょうきんで人気者。

 彼の近くには、たくさんの友達がいました。


 マリ、ゴンズ、キーファ。


 彼らは夢を語り、辛いときには慰めあう素敵な関係でした。


 しかし、力持ちのゴンズは、ある日重病で亡くなってしまいました。


 友人たちは、天国に旅立つゴンズに向かって、必死に引き止めます。


「ゴンズ、死ぬな。キミとはもっと話したいことがたくさんあるんだ」


 友人たちに向かって、ゴンズは穏やかにこう言いました。


「大丈夫だ。俺が死んでも、君たちの中に俺は生きる。魂ってやつだよ。人は生きている限り、自分の魂を少しずつ誰かの中にプレゼントしているんだ。だから、お前たちの中にも俺はいる。お前たちが将来で会う人の中にも、俺は贈られる。それが人間ってもんだよ」


 こうして、サムの魂は、サムとゴンズの魂になったのでした。


 そして、いまこの本を読んでいる人たちの中にもサムとゴンズたちは生きていくのです。


 探し物は、すぐそこにあるのです。

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― 新着の感想 ―
[一言] そうですね〜。 きっとそうなんだと思います。
2023/04/25 11:01 退会済み
管理
[一言] 人と人とが触れ合うと魂が分け与えられていくという現象は面白いですね。 確かに、誰かと仲良くしていると、その人の癖が自然と移ってしまったりってありますよね。 これって、相手の魂が自分の魂に混ざ…
[一言] 去り行く時に自身の不安を語るのではなく、友へ励ましを贈るゴンズの姿に勇気をもらいました。 死を目前にして恐れおののくのは当人ではなく、残される側なのかもしれません。大切なひとを失ってもそこ…
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