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攻略対象①


 そして、攻略対象についても書き込んでいった。

 攻略対象ごとに三つのルート設定がなされており、それぞれハッピーエンド、トゥルーエンド、バッドエンドという名称だった。


 一人目は、クリスティアン王子――リーゼベルツ王太子だった。


 彼は現在の王であるディートリヒ王の長男で、黒い髪を持ち碧眼の持ち主だ。

 年はアリアとヒロインであるベアトリーチェと同じで、十歳の時にアリアが婚約者候補筆頭となるものの、悪事やらなんやらで公衆の面前で、四年後に断罪(ざまぁ)される。


 そんな彼のハッピーエンドは、貧乏貴族であるセレネ伯爵家から王妃になるという通称『シンデレラエンド』。彼とヒロインが手を取り合うスチルが、頭の中から離れなかったのを記憶していた。

 トゥルーエンドは政略結婚から逃れられない王太子という身分が苦しく、ヒロインと駆け落ちする『駆け落ちエンド』。結局、国外に出る寸前で捕まり、離宮に幽閉されたとか何とかという、あまり後味の良くない終わり方だった。

 そして、バッドエンドは政略結婚で公爵家の娘と結ばれるという結末であり、ヒロインは王太子妃付きの上級侍女として働くことになり、クリスティアンとは毎日のように顔を合わせるのに結ばれない、という心が痛む終わり方だった。




 二人目はクロードという隣国――セリチアの王子で、金髪茶眼の持ち主で、アリアたちの三つ上だ。


 彼は異母兄である王太子に疎まれていたがために、外交官としてリーゼベルツに派遣、という名前で島流しに遭っていた。しかし、彼はそんな境遇を嘆くでもなく、しっかりと楽しんでいるようだった。

 彼のルートではアリアは名前のみの登場で、妹・リリスとの争いを描かれていた。


 ハッピーエンドは異母兄とも和解した後、駐在していた先で出会ったヒロインと結婚し、セリチアへ戻るという『和解エンド』。

 トゥルーエンドは、リーゼベルツ・セリチア間の関係が悪化したため、第三国へヒロインともども行き、そこで暮らすというものだった。

 そして、バッドエンドはトゥルーエンドの状態からさらに関係が悪化し、二国間で戦争が起こったことから、リーゼベルツでもセリチアでも針の筵状態となることが想定されたため逃げようとするが、途中でリーゼベルツ側に捕縛されて、処刑されるというもの。ヒロインとは最後に処刑される間際に、密かにあって別れを告げていた。




 三人目の攻略対象は、ユリウス・デュートという名前の王立騎士団の所属騎士。


 彼は非常に厄介な立場であり、実はスフォルツァ公爵であるアリアたちの父親の庶子であった、というものが彼のルートの中で明かされる。

 父親であるマグナムは地位のために現国王の従弟であるエレノアと結婚したが、ある日、息抜きで針子の娘に手を出してしまったところ、ユリウスが生まれたという。しかし、彼は父親から認知されず、セレネ伯爵邸近くに住んでいたことから、ヒロインと仲良く育っていた。


 そんな彼の特徴は何といっても、アリアと髪色が非常によく似ていて、栗色をしているのだ。ただし、アリアとは異なり、瞳は彼の母親から受け継いだのだろう、少し寒そうな灰色だった。

 彼女たちとはひとつだけ離れていて、物腰が柔らかい性格をしていた。


 彼のハッピーエンドは、ヒロインを守るため、スフォルツァ家を自ら切り捨て、そのままリーゼベルツで出世するという終わり方をしていた。

 トゥルーエンドは実家の事件に巻き込まれたものの、悪事には手を出していないだろう、とみなされ、ほとぼりが冷めるまで「他国へ剣の技術を磨くために留学」させられることになり、ヒロインとは数年後、リーゼベルツに帰国した時に再会する、というものだった。

 そして、バッドエンドは実家の事件に巻き込まれてしまい、騎士団の一員としてもうまく立ち回ることができず、彼もほかの一家同様、他国へ追放されることになったというもの。ヒロインには王宮でひそかに会い、別れを告げた。

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